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昔飼っていた猫

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 今年、それが動機でチョビの墓参りをするため、帰省した。仙台から高知なので遠い。だが、関係なかった。

 墓は、山の上にある。上るとしんどいので、免許を取得していない私はバスで行くしかない。
 
 たどり着いた墓は、昔とほぼ変わっていなかった。ただペットのための墓なので、周囲に矢鱈と猫が多かった。

 本当にたくさんいたが、どの猫も、チョビとは全く違う。当たり前だ。何を考えているのか。もういないのだ。


 私はメッセージをしたためていた。トイレでさんざん泣き喚いたので、謝罪はもうこの程度で良いと考えていた。あまりに何度も謝られても、チョビはきっと鬱陶しく感じるだけだろう…いや、もういないのか。何も感じないに決まっている。命が消えれば、感じることを含む全てができなくなる。それを理解しながらメッセージなどを送ろうという考えは、偽善だ。だが、偽善でも、しなければならないことだと感じていた。

 同じ過ちを二度と繰り返さないために。
作品名:昔飼っていた猫 作家名:島尾