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認識することの難しさ

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 ところで、話は変わるが、私は昨日非常に大きな失態を犯した。それは電話口でのことだった。
 こちらから掛けたのだが、不在着信だったため履歴から電話した。そのとき諸事情により電話番号を確認せずに掛けたのが、引き金だった。
 その声は、私が今嫌っている人間の声にそっくりで、通話中数十秒の間、そいつからの電話だろうと思っていた。
 掛けなければ良いと思う人もいるかもしれないが、社会的に掛けなければならない相手なのだ。もうどうしようもない。

 しかし、現実は全く違っていた。

 その相手は、教授だったのだ。アドバイザー教員という位置づけで、その教授とは何回か面談をしたことがあり、素晴らしい回答をしてくださることもあって、嫌うなどあり得ない。ないないない。しかも内容が面談についてのことで、時間変更の連絡だった。テキトウに済ませていたら大変なことになっていただろう(汗)。

 そんな教授に、ぞんざいな、投げやりな口調で以て早く事を終わらせようとしていたのだ。
 後に大いに反省し、すみませんすみませんと何度も謝って、教授は、「まあ、話せたんだし、良かったんじゃないの」と、返され、そこで教授の器の大きさを感じずにはいられなかった。

 ただ失態には違いない。これはまずいと、「明日お土産を持参しよう!」という強い感情が湧きおこった。そして、今日そのお土産を無事に渡すことができた。
 教授は、ちょっと驚いた様子だった。そのお土産は、「認識」に関する私個人が数学的に考えたレポートみたいなもので、まさかこんなものをお土産に持ってくる学生はいないと思われたに違いない。
 その教授の少し驚いたのを見て、私は少し嬉しかった。逆に教授は忙しいなか更に忙しくなるだろうなと思ったが、教授である。学生のそんなものは、すぐに読めてしまうのでは?と、今は思っている。
 
 一体何を書いたのか。それは、「真の値を求めることはできない」という内容だ。
作品名:認識することの難しさ 作家名:島尾