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過ぎゆく日々

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地球温暖化


 今年の桜の開花は例年になく早かった。今年は特別だとしても、徐々に早くなっているように思う。昔の入学式は桜をバックに写真を撮ったものだが、今は卒業式になりつつある。
 天候の変化も荒々しくなったように感じる。暑さ寒さが極端になり、局地的豪雨も激しい。
 
 もちろん、昔も夏は暑く、冬は寒かった。
 今のように三十五度の酷暑日などはなかったと思うが、三十度を超える蒸し暑さにはうんざりしたものだった。その暑さをしのぐのが、うちわと扇風機、そしてカキ氷くらいだったからたまったものではない。夜など何度も目を覚ましては扇風機のスイッチに手を伸ばすが、流れてくるのは生暖かい風だった。
 冬の寒さも大変だ。高気密高断熱など備わっているはずもない木造住宅。底冷えのする部屋でストーブをつけても、換気のため部屋の隅を開けておかなければならない。寝る時は、湯たんぽで足元を温め、重い綿の布団に包まる。そして、お風呂で暖まろうと思えば、銭湯へ行くことになる。冷たい雨など降っていたら最悪だ。
 
 そんなこんな不便な暮らしがまるで嘘のような今日を手に入れるために、結果、地球環境を壊してきたかと思うと複雑だ。回り回って、さらに悪い事態を呼び込んでしまったとも言える気がするから。コンクリートジャングル、自然破壊、自ら住みにくい環境を作り上げてきたようなものではないだろうか。
 でも、便利で快適な今の暮らしをもう手放すことなどできない。文明というものはそういうものだろう。退化することなく、さらに前へ前へと加速をつけて進歩し続ける。火星に移住、などという今ではまだ夢物語も、そう先の未来の話ではなくなるかもしれない。
 未来の子孫たちにどんな暮らしが待っているかなんて、まるで想像もつかない。同様に、うちわで涼をとり、湯たんぽで足元を温めていたことなど、彼らにだってとても考えられないだろう。
 
 同じ人間に生まれてきても、どんな時代に生まれるかで大きく違う。でも、人間の持つ本質は変わらないはずだ。美しい自然に癒され、豊かな自然の恵みをありがたくいただく。永久にそうであってほしい。
 そのため、今からでもちょっと立ち止まる、あるいは方向転換を模索する、そんな無理なことをつい願ってしまう。

作品名:過ぎゆく日々 作家名:鏡湖