過ぎゆく日々
甲子園 夏
第100回記念大会の決勝戦は、対照的なチームの戦いとなった。
史上初となる二度目の春夏連覇をかけた強豪校と、優勝経験のない東北勢の公立高校、それも農業高校だ。
判官びいきで後者を応援した人もいただろう。しかし、結果はやはり常連校に軍配が上がった。投手が一人というのは大きなハンデだったかもしれない。今年の異常とも言える酷暑の中、よくここまで投げ抜いたものだ。
そもそも、大会そのものが大きなアクシデントもなく実行されたのは見事だ。東京では連日のように、運動は危険という注意報が発令されていた。おそらく甲子園もそうだろう。炎天下での長時間の観戦、見に行く観客もすごい。
心配される二年後の東京オリンピックも乗り切ってしまう、そんなビジョンが見えた気がした。
決勝戦を終え、地元に戻った金足農業ナインを迎えたフィーバーはものすごかった。テレビでもその様子が多く流された。準優勝チームの方が脚光を浴びるという珍しい事態だ。相手が金足農業でなかったら、大阪桐蔭の偉業はもっと大々的に称えられていたかと思うと気の毒な気もする。
いつからか強豪校に全国から有望な選手が集まり、甲子園を目指すのが当たり前になった。設備や指導者などすぐれた環境を求める球児たちにとって、夢に近づく一歩になる。
一方で、地元で育った子どもたちが甲子園に出て、それを地元を挙げて応援する――そんな光景は、見ている方も清々しく気持ちがいい。
環境は違えど、どの学校の球児たちもみな、日々厳しい練習に打ち込んでいる。青春の汗と涙を流して。