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過ぎゆく日々

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サンドイッチ


 目の前のテーブルの上にあるコンビニのサンドイッチ――
 それを食べようとしてふと思った。こうして私の手に届くまで、どれほど多くの人が関わってきただろうかと。
 パンを焼く人、具を調理する人――もっとさかのぼれば、パンの原料の小麦を栽培する人、具の材料の野菜や卵を生産する人、ツナの原料のまぐろを捕る人――そしてそれらを運ぶ物流の人や、店に並べる店員さん等々。
 見事なまでに整えられた体制のおかげで、新鮮なサンドイッチを食べることができるのだ。
 
 昔、海外のドラマなどで、食事の前に手を組み
「天にまします我らの父よ……」
と家族で祈るシーンをよく目にした。当時は、儀式的に映っただけだったが、考えてみると、食事をいただけるということに感謝するのは当然のことだとあらためて思う。
 昔は干ばつなどの自然に左右されたであろうから、そういう意味で感謝の気持ちを捧げたのかもしれない。もちろん現在も自然の恩恵は不可欠だが、昔の自給自足とは違い、今はいろいろな人の手を経ているということにも思いを馳せるべきだろう。
 
 コンビニへ行けばいつでも食事が用意されている。それは、昼夜を問わず働いている人がいるということ。
 そう思いながら、目の前のサンドイッチに手をのばすと、
「いただきます」
という言葉が自然と口からこぼれ出た。 


作品名:過ぎゆく日々 作家名:鏡湖