小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

過ぎゆく日々

INDEX|44ページ/69ページ|

次のページ前のページ
 

マイナスの尊さ


 若い頃はすべてがプラスだった。歳を重ねるごとに経験は増え、人生の彩も増していった。
 
 ところが、しだいにその足取りは停滞し、いつしかマイナスの領域に足を踏み入れることになる。
 
 それに抗っているうちに、普段は忘れているごく当たり前のことが身に染みだす。人生には限りがあるということだ。
 
 孫は目に入れても痛くないほどかわいい――そう言われるのは、遺伝子を継ぐ幼子というだけではなく、一緒に過ごす時間、ともに生きる時間が短いと決まっているからかもしれない。
 
 加齢とともにできることが少なくなっていき、今までいた人にも会えなくなっていく。それらを嘆いてもしかたがない。すべて自然なこととして受け入れる、そうするしかないのだ。
 
 しかし、過ぎ去っていく時間や失われていくものの尊さに気づいた時、自分が今、手にしている幸福を深く感じられる――それでいいのかもしれない。

作品名:過ぎゆく日々 作家名:鏡湖