過ぎゆく日々
縁（えにし）
世の夫婦は十人十色、千差万別。そこをあえて一般的というものに当てはめると、その根底にあるものは「感謝」ではないだろうか。
元は赤の他人、それも出会わなかった可能性だって大いにある。それが何かのめぐり合わせで出会い、なおかつ互いに惹かれ合い、結果将来をともにしようと決める。その確率は極めて低いだろう。だからこそ、結婚はめでたいことであり、多くの人に祝福される。
そして、長い長い年月、荒波に揉まれながら、ともに歳を重ねていく。それでも家族の中で、夫婦だけは、血のつながりという意味ではいつまでたっても他人である。
しかし、親兄弟は選べないが、家族の中で唯一、配偶者だけは選ぶことができる。そして、互いの意志と婚姻届一枚だけで繋がっている。だからこそ、その結びつきは固くなければならない。
とはいえ、いい時ばかりではない。不満が爆発しそうな時だってある。だが、「夫婦喧嘩は犬も食わない」そう言われるように、大抵のことは乗り越え、ともに生き続ける。そして、ふだんは忘れていても、何かの時にはきっと、かけがえのない存在だと身に染みるに違いない。
そう気がついた時、この縁とその相手に、心の中でそっと感謝する。