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過ぎゆく日々

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 耳を澄ませなくても、自然と聞こえてくる日常の音。
 
 近くの公園で遊ぶ保育園児たちの歓声――
 声を合わせてゲームをしたり、思いっきり走り回ったり。若い保母さんの腕に抱かれているのは幼い子ども。この子たちの親たちは今頃懸命に働いているだろう。そして、笑顔で迎えに来た親に子どもは駆け寄り、親子はそろってわが家へと帰って行く。そんな光景が目に浮かぶようだ。
 
 近くの新築現場からは大工さんの叩く音――
 トントン、手作業の音。キーン、電動工具の音。今の時期暗くなるのが早い。辺りが暗くなっても煌々と電気を灯し、作業は続く。一日の仕事を終えて家に帰れば、温かいお風呂と美味しい晩酌が待っている。そして、いずれ作業が終われば立派な家が出来上がる。夢のマイホームを作る仕事、さぞやりがいがあるだろう。
 
 郵便屋さんのバイクの音――
 緊急車両のサイレン――
 人々の話し声――
 
 私たちが暮らす町の音。
「五時になりました。外で遊んでいるお子さんはお家に帰りましょう」
 やがて、暗闇とともに町は静けさに包まれる。
 こうして今日も、一日が終わろうとしている。


作品名:過ぎゆく日々 作家名:鏡湖