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過ぎゆく日々

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消費社会


 デパートや家具センター……購買意欲をそそるディスプレイに目が止まる。
 スーパーやホームセンター……お買い得価格に思わず手が伸びる。
 そのようにわざわざ足を運ばなくても、今やどこからでもスマホ一つで手軽に買い物が出来る。
 
 だからと言って今の時代、新品を手にして喜んでばかりというわけにはいかない。 
 家電や家具などの大物の買い換えとなると、今あるものの処分というものが必要になる。当然費用がかかる。捨てるのにお金がかかるというのは一見納得いかないように思うが、不要品だからといって、消えてなくなるものではない。だからコストが生じるのは当然のことだ。日々工場で作られている製品は新品であると同時に、いずれゴミになる物。なので、本来なら役目を終えた後の処分までが物を作るということなのかもしれない。
 
 大物ばかりではない。洋服や小物だって、新しく買えばそれをしまう、あるいは飾るスペースが必要になる。そしてその場所を確保するため、またゴミが出る。つまり極端なことを言えば、私たちは将来のゴミを買っているようなものなのだ。
 
 そうは言っても暮らしていくのに必需品は多い。特に食料品などは生きていくのに必須。でも、多く買いすぎたり、冷蔵庫の奥に眠らせてしまったり無駄にすることがよくある。すると、もったいないという後ろめたさの中で処分することになる。そのような事態を防ぐため、不要なものは極力買わない、そして買った物は大切に使いきる、それが家計にも地球にも良いこと、そうわかってはいても、簡単なことではない。
 言うは易く行うは難し、ということか。
 
 子どもの頃は、服が切れれば継ぎを当て、物が壊れれば修理した。それが合理的であるかはわからないが、今となっては遠い昔の話になってしまった。その時代を知る者にとってはこの大量生産大量消費の時代、心地よいとばかり言ってはいられない気がする。


                2022.6.17


作品名:過ぎゆく日々 作家名:鏡湖