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社会に不適合な二人の

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のしをつけて帰る


 私が料理を押しつけるために弟の部屋を訪れるのと同じように、弟も私の部屋を訪れることがあります。理由は大体、漫画雑誌や漫画の単行本を借りに来たり、返しに来たり、そういう即物的なことですが。
 そんな本を借りに来たときに去り際に弟がいつも言う言葉があります。
「ジャンプ貸して。」
「あーえっとどこだっけ?」
 私の部屋は本で埋まっていてどこに何があるか分からない部屋になっています。火事になったら直ぐ死ねます。
「あったあった。はい。」
「ありがと。」
「あとこれ読んでみない?」
「面白いの?」
「それなりに。」
「ふーん……はい、面白かった。」
 気が向かないと、ぱらぱらと数ページめくった振りをして、本を返してきます。酷い人です。
「ひどい……。」
「じゃ、ありがと。のし!」
「え?」
「のし!」
「ああ、ノシね。」
「じゃ。」
 のし、と言う顔文字を言葉に出して別れの挨拶にするのが弟の挨拶です。


――
[ジャンプ]…マガジンと並んで週刊少年漫画誌の覇を競ってる有名漫画誌。私も弟も愛読していますが、私はサンデー派、弟はガンガン派。
[のし]…半角片仮名の「ノシ」のこと。文字でノシと書くと顔文字が手を振っているように見えるので(^^)ノシ、サヨナラを意味します。本来書き言葉で会話言葉ではありません。

作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮