社会に不適合な二人の
大人は背中に目がある
私達が子供の頃から母親はおらず、父は働いていたので日中は家にいませんでした。
そこで当時の私達を世話してくれたのが祖父母と言いますか、祖母でした。
ある時、私がテストで満点を取ったときのことでした。
台所で包丁仕事をしている祖母に、そのことを報告しました。
「みてみてー、100てんとったよー。」
「あー本当、すごいねー。」
まな板に向いたまま祖母は言いました。
「みえないでしょー?」
「見えるから大丈夫。」
「せなかでみえるの?」
「大人は背中目があるからね。」
「へー。」
私は本当に感心して、大人になると背中で物が見えるものだと思っていました。
今のところ、いまだに背中で物は見えません。
作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮