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社会に不適合な二人の

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一手間増やすのが人生を美味しくするこつ


 深夜に私がご飯でも食べようと台所に赴いたとき、丁度弟がご飯を食べていました。
 私は面倒さからコンビニで買ってきたころきしめん、弟は夕食の残りだったシーフードカレーのラスト一皿。
 私がテレビの電源を付けると、F1のレースが始まるところでした。
「日曜日の深夜ってなにもやってないから、ずっとF1見てたんだよねえ。」
「あー、なんにもやってないよな。」
「だから、私は高校時代F1みながら勉強してんよねー。」
「今ならネットでニコニコとかあるからなー。」
「そうだねー。」
 テレビでは丁度雨でスリップした車がクラッシュして大事故に成っているところでした。
 その映像で私は少し前に見たラリーの映像を思い出しました。
「そう言えば、ラリー見てみたい。」
「テニスの?」
「ぱこんぱこんて?ちがくて。」
「卓球の?」
「だから違う。」
「今食べてるこれは?」
「カリー。って、もーうるさい。」
「なんだよ。」
「うるさいうるさいもー。分かってんでしょ。」
 私がそう言うと、弟はけたけたと笑います。
 お決まりの流れですが、たまには話の腰が折れてうっとうしいこともあります。


――
[ころきしめん]…冷たいぶっかけのきしめん。きしめんって平たいうどん。
[F1]…地面を這うような車でコースを走るレース。速度に対してコースが狭くて窮屈そう。
[ラリー]…細い普通の道をスポーツカーで爆走して盛大にクラッシュするようなレース。
[ニコニコ]…ニコニコ動画、一般人が自作の動画を投稿するという建前のサイト。

作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮