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社会に不適合な二人の

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あなたが言う言葉じゃない


 私と弟がアウトレットモールのオープンカフェで人を待ちながら喋っているときのことでした。
 そのテーブルを挟んで二つに分かれた一団が話しながら通っていきました。
 袋を下げて買い物が終わった様子です。
 左の団体が一緒にいた子供に向かって言いました。
「良い物買って貰ったねー。」
 すると右の団体から左の団体に声が飛んできました。
「本当に良い物買ってもらちゃって」
 その子供の母親のようでした。
「良いのよー。」
「ありがとうねー。本当にありがとうねー。」
 私達を挟んで、ありがとうね、ありがとうね、と繰り返されたので、弟は平然とした顔でぽつりと呟きました。
「どういたしまして。」
 私にだけ聞こえる大きさで言ったのですが、私が声を出して笑って変な顔をされました。

――
[アウトレットモール]…平屋の店が色んな種類集まって出来た店群。洋風な商店街。
[オープンカフェ]…江戸時代の茶屋が洋風になったようなもの。

作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮