社会に不適合な二人の
過程は消し飛び、結果だけが残る
弟はご飯のあて物が大好きです。
私が鮭フレークの瓶を買ってきても、うっかり台所のテーブルに置いておこうものなら次見たときは空になっています。
冷蔵庫には納豆が大量に買い置きされていますが、朝見たときに12個有った納豆が、昼過ぎに見たときには10個に、次の日の朝には8個に、二日後には納豆が無くなっています。
キムチを袋で買ってきても、三日を保ちません。
気分が乗らないで一日食べないでいると、それらを食べる機会はないぐらいです。
そして弟はカレーの福神漬けも大好きです。
そして私がアルバイトで夕食時を過ぎて帰ってくるときのこと。
「ただいまー。」
「おかえり。台所にカレーがあるで。」
祖母がテレビを見ながらも、ねぎらいの言葉をかけてくれます。
私は服を着替えた後に、鍋のカレーを温めて、皿に盛りつけ食事を開始します。
味を変えようとおもった所で気が付きます。
「福神漬けは?」
「買ってきたけど、全部食べちゃったみたいだわ。」
カレー自体は二日もちますが、福神漬けは一日と持ちません。
――
[鮭フレーク]…飯泥棒。滅多に来ないお客様。
[納豆]…飯泥棒2。もはや居候。
[キムチ]…飯泥棒3。それなりに顔を合わせる仲。
[福神漬け]…私と弟のカレーのあて。父と祖母はらっきょう。
作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮