社会に不適合な二人の
寝起きの記憶はあんまりない
私は低血圧で寝起きが非常に悪いです。
そして眠りが浅く、寝ている間に何度も目が覚めてしまいます。
それで起きる度に時間を確認して、そのまま寝続けるか諦めて起きるか選択するのですが、時間をいつも携帯電話で確認します。
これは私が寝起きが悪くて殆ど目が開かない上に、目も非常に悪いので眼の前に持ってこないと時間が全く見えず、置き時計を持ってきては何度も顔に落としていたからです。
そして起きて目を閉じたまま、辺りを手当たり次第に荒らして携帯を探し出し、ぐちゃぐちゃ触って時間を出して、目を開けて確認して、目を閉じてからどうしようか考え始めます。
そして、毎度のようにそんなことをしてから、さらに何度寝かした日のこと。
携帯電話が着信を告げる音を立てました。
「はい。」
「もしもし。」
弟の声でした。
「どうしたの?」
「そっちから着信履歴があったんだけど。」
「かけてないよ。」
「いや、朝に履歴があるんだけど。」
「あー、かけたかもしんない。」
「なんの用?」
「間違えました。よく間違えます。」
「死ねばいいのに。」
不機嫌そうに弟は通話を切りました。
多分、目を閉じたまま携帯のボタンをいじくってるときに着信履歴からダイヤルしちゃっていたのでしょう。
たまに同じ事をして、かけた人に叱られることがあります。
――
[低血圧]…血の流れる強さが弱い。高血圧は健康に悪いらしいけれど、低血圧もかなり健康に悪い。
[携帯電話]…時計。
[よく間違えます]…ラーメンズのコント「バニーボーイ」でのバニーボーイの一言。
[死ねばいいのに]…同上の片桐氏の一言。
作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮