社会に不適合な二人の
毒を以て薬と為す?
兄は結婚をしていて自分の家庭を持っていますが、法事などで義姉が実家に帰っている時には、祖母の家であり私達が生活している家に食事に来たりします。
夕食の時間にバイトが入っていたりするので、あまり会うことはないのですが、たまに兄、私、弟、祖母の四人で食事をすることもあります。
そんな珍しく四人で食事をしながらテレビを見ているとき。
ちょうど黒豆料理をつくる番組がやっているのを見て兄が口を開きました。
「そう言や黒豆を食べると痩せるらしいよ。」
「もう何食べても痩せるんじゃないの。健康番組で紹介してない食材ないんじゃない。」
弟が、その手の話題はもう聞き飽きたというように返事をしました。
「いや、本当に痩せるんだってさ。」
意に介さずにそう言うので、私も弟に同調してみることにしました。
「え?黒豆って毒なの?」
「なんでそうなる。」
「食べてるのに痩せたら、毒じゃないかな。」
そこまで話したところで祖母が黒豆って健康に良いんだよ、近所の○○さんもねと、こちらを全く関係なく話し始めて終わりました。
私と弟は理系ですが、兄は体育会系の人です。
顔は似ているらしいのですが、性格が違いに同じ血が流れてるとは思えないことがあります。
――
[もう何食べても]…みのもんたの番組が毎日健康食材を出していて、何食べても良さそうに見えてくる。
[理系]…数学とか理科の点数が他よりまだ良かった人。
[体育会系]…運動能力で進路や就職を勝ち取る人。
作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮