社会に不適合な二人の
あの茶碗って飯椀とも言うそうです
私がご飯を食べようと、茶碗をとろうとしたとき、丁度弟が流しで水を飲んでいました。
私から見て弟の向こう側に茶碗を置いてある水切りがあるので、弟に食器をとってくれるように頼みました。
「お茶碗とってください。」
「ああ、お茶碗、ね。これ?」
そう言って、弟はみそ汁をよそうための椀をとって見せてきました。
「それは、汁椀です。」
「ああ、じゃあ、茶、椀、ね。」
そういって、小さい深底の食器を出して見せてきます。
「それは、湯飲みです。」
「茶飲むじゃん。」
「ご、は、ん、ちゃ、わんください。」
「はいはい。」
こんな、分かっててわざと間違えてくることが良くあります。
私は何もしてないので、弟は面倒が増えてるだけなのですが、弟は気が向くとこういうことをしてくれます。
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[茶碗]…茶碗蒸し用の椀も茶碗です。茶って何という感じの万能ぶり。
作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮