社会に不適合な二人の
コッタしか合ってない
私と弟は夕食以外の食事を不定期的に摂るので、今の家では米をその都度の食事ごとに炊かず、一度に何食分も炊いて保温しておいておきます。
しかし、それこそ計画的ではないので食べたいときに米はなし、と言う状況になることもしばしばあります。
その様なときは即席ラーメンやレトルトソースのスパゲッティーを作って誤魔化すこともありますが、やはり弟も私もご飯におかずという食事が食べたくて仕方有りません。
ただ、そもそも主に米を炊くのは祖母で、私も炊いた米が無くなりそうな時に自分が食べるときに足りるように炊くことがあります、そして弟は一切炊くことはありません。
そう言う訳で、ご飯がない憂き目にあうのは大方弟という構図になっていたりします。
そして悲惨なのは、私がご飯を食べ尽くし、ラーメンやレトルトが無いという状況。
私は何かしら作りますが、弟は我慢の道にはいるのです。
その日もそのような、私が炊飯器のラストを飾った日のこと。
弟がいつものように台所にやってきました。
「こん、ばん、は。」
「ご飯もう無いよ。」
「……。」
「ラーメンももう無いよ。」
「パンナコッタ……。」
「ぱんなこった?」
「パンナコッタ。」
「ああ、なんてこったってことね。」
「そーそー。」
「なんで分かったんだろう。」
「鍛えすぎたんだ腐ってやがる。」
「腐ってはいない。」
仕方ないので、ペペロンチーノを作ってあげることにしました。
――
[パンナコッタ]…生クリームをゼラチンで固めた洋菓子。ムースとババロアとパンナコッタの違いはクッキーとビスケット並に微妙。
[腐ってやがる]…ナウシカはクロトワのセリフ。本当は「速すぎたんだ」腐っていたのは巨神兵。
[腐ってはいない]…男同士の恋愛を好む人は腐ってる。何がかは言ってはいけない。
作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮