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社会に不適合な二人の

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ばかじゃないの?


 継母との記憶を思い出すと、怒られた記憶ばかりです。
 私がいらぬ手間をかけさせてしまったからなのですが。

 ある日、家の鍵を落としてしまって、見つからぬまま帰った時。
 チャイムを鳴らし。
「はい。」
「私だけど、開けて。」
「鍵は?」
「ごめんなさい、落としました。」
「ばかじゃないの?」
 そう言って継母は、玄関の鍵を開けてくれました。

 小さい頃は雨が降る日、傘をささずに濡れて帰るのが好きで、家に帰るといつもずぶ濡れでした。
 玄関にはいると、ずぶ濡れの私をみて継母はいつも信じられないという顔をしました。
「傘はどうしたの?」
「んー、なんとなく。」
「ばかじゃないの!?床が濡れるから入らないでよ。」
 そう言って継母はバスタオルを渡してきました。

 私は熱いお風呂が好きで、いつも給湯器の設定温度より温めて入っていました。
 逆に継母は冷え性が強く熱い風呂が苦手で、私がお風呂を熱くするのを嫌っていました。
 私がお風呂のコントロールパネルで温めるボタンを押すと、継母は台所にあるコントロールパネルでそれを取り消す、その繰り返しの果てにお風呂に怒りに来ました。
「あんたが温めると火傷しそうなくらい熱くなるからやめて!」
「私は温めないと風邪引きそうなぐらいぬるいもん。」
「ばっかじゃないの!」
 何度も、そう言いながらお風呂場から離れていくのが分かりました。

 今思いかえすと、もう少しうまくやれたと思うのですが、当時はよく分からずに怒らせてばかりでした。


作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮