社会に不適合な二人の
嫌いなものには拒否反応
大人になると、嫌いだったものが好きになるとかそんなことを言います。継母はそれを真っ向から否定していましたが、好きになる人もいるそうです。私は何でも食べるので特には無いのですが、強いて言えば、野菜が昔よりすきになりました。
さて、私の弟は好き嫌いの激しい人間ですが、弟も成長して好き嫌いが変わってきたような話をします。
「たくあんとか昔好きじゃなかったけど、最近美味しいと思うようになってきたよな。」
「あー、魚とか昔より好きになったりするよね。」
「いや、俺は魚は昔から好きだったけど。」
「あそう……。じゃあ、ひじきとか。」
「ひじきは駄目、あれは食べ物じゃない。あんなもの食べろッていわれたら吐く。なんかテレビの企画で、恋人に嫌いな食べ物を食べさせるとか言うのがあったけど、俺だったら、ごめんアレルギー何でとかいって逃げる。だって、本当に嫌いなもの食べたら、絶対体に悪いだろ。」
「たしかにそれはあるかもね。でも勿体ないなあ。」
「良くテレビで勿体ないとかいうけど、俺が食べたって貧しい人が食える訳じゃないじゃん。」
「うおう、タブー中のタブーに触れちゃった!」
「俺が食って、貧しい人の食事が出るなら別だよ。食べないけど。食べられる訳じゃないじゃん。」
「まあねー。」
と、弟は熱く語ってましたが、結局は食べたくないものは決して食べないと言いたいだけなのだなあ、と思っていました。
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[タブー中のタブー]…達人は保護されている!と言った人がいたような気がします。同じように、弱い人は過剰に保護されていると思います。
作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮