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遅くない、スタートライン 第3部 第1話 9/16更新

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(5)

俺と美裕はあきとを連れて家に帰った。千尋さんと雄介義兄さんは家に帰って話しなさいと言った。まずはあきとくんとコミュニケーションをとることから始めるようにと言われた。そりゃそうだな…俺は今日あきとに逢うまで3年も時間が空いてるんだ。あきとは幼稚園が創立記念日で休みで、俺の家に3泊する予定だ。日曜日の夕方にはお義母さんが帰ってくる。それまでの時間を有効に使うべきだと思った。

美裕はあきとのリュックサックを開けて、お義母さんが持たせてくれたあきとの着替えやお気に入りグッズを取り出した。あきとは家に入ってからキョロキョロと家の中を見回した。

「あきとぉ…どーした?バァバんちとは違うか?」俺は千尋さんが持たせてくれた、子供用の椅子をテーブルにセッティングした。
「あきとのおうちはぁ!」と言い出した。

あぁ…あの家は純和風だからな。今でもそうなのか?ダイニングテーブルセットとか、ソファはなかったな。俺も初めて挨拶に行った時に、正座しなれてないから、足が痺れたよ。
「あきとくん!お風呂が沸いたよ。パパと入ってきたら?」
美裕の声がキッチンから響いた。あきとは俺の顔を見た。

「入ろう!シャンプーハットもおもちゃもあるぜ」
俺は千尋さんが持たせてくれた、樹家のお宝グッズが入ったビニール袋をあきとに見せた。


あきとくんがはしゃぐ声…マサ君が笑う声がバスルームに響いた。よぉ…遊ぶわ!千尋さんが持たせてくれたのは、大樹君と有ちゃんが子供時代にお風呂場で遊んでた遊具だ。千尋さんはそのおもちゃを大樹君の孫に使わせたいと思ったが、まだ生後半年の子には無理よ。そのおもちゃをあきとくんが滞在中貸してくれることになった。

「かれこれ…20分経ったわ。あきとくんもマサ君ものぼせるわ。出さなきゃ」
私は壁際のバスルームのボタンを押した。

「のぼせるよぉ!はしゃぎすぎぃ!あきとくん!ごはんできたよぉ」
バスルームから2人の「はぁい!」の返事が聞こえてきた。

あきとは、美裕の作ったチキンドリアをパクパク食べた。サラダもあきとが食べやすいように一口サイズに星形の人参やミニトマトに彩り鮮やかで、大人の俺も喜んだ。
「おいちぃ!あぁ!星ぃ!」喜んで食べた。美裕もそんなあきとを見て嬉しそうだ。しょうたくんと重ねてるのかもしれない。

「あきとくんは、なにがすきなの?おしえてぇ!明日…美裕ちゃんがまた魔法をかけるから」
また…あきとにそんなことを言う!美裕ぉ…( *´艸`)

「あきとねぇ!幼稚園のおひるで、ハンバーグのおだんごぉと、おいものだんご」
俺は聞いててわからなかったが…美裕はうんうんとうなづいた。

「あぁ…たぶんね。ハンバーグのおだんごっていうのは、ミートボールかな?おいものだんごはマッシュポテトだと思う」
あぁ…なるほどね。

「あきとくん…明日の朝食べれるように、美裕ちゃん魔法かけて寝るわね」
あきとはすっかり、美裕ちゃんの魔法が気に入ったみたいだ。

ご飯も食べて、あきとは俺の膝の上で絵本を読んでいた。俺に説明しながら、アニメのキャラクターを教えてくれた。子供がいないとアニメキャラクターはわからん。美裕はカフェで子供達を相手にしてるから詳しいけど。美裕はキッチンでりんごのうさぎさんを製作している。アンタ…パティシエが作るうさぎさんのりんごだよ。どんなものができるやら…

案の定…あきとは美裕が作ったりんごのうさぎさんが気に入ったみたいだ。素人が作るんじゃないんだ!耳の部分のカーブがとてもきれいで、目と鼻もあるんだ。俺はスマホで撮影したのは言うまでもない!ブログネタだけど。

「あきとぉ…美裕ちゃんすごいだろ?美裕ちゃんに聞いてみたら?おしごとなにしてるの?って」
あきとは俺にうんうん、うなづいて美裕に聞いた。
「みひろちゃん…おしごとなに?」
「みひろちゃんはぁ…」エプロンのポケットに入れてたのか?パティシエの帽子を取り出してかぶり…ラグマットの上で軽くターンした美裕だ。
「ケーキをつくる人ですぅ。パティシエさんと言います」そして、膝を折って胸に手を当ててあきとに軽く頭を下げた。
「ケーキつくるひとぉ?みひろちゃん」驚いてるわ。あきと ( *´艸`)

もう寝るまで、あきとは美裕の後ろについて歩き回った。いつ魔法をかけるのか、おうちでケーキをつくるのかと聞いたりしてた。俺はそんなシーンをタブレットでビデオ撮影していた。

「あぁ…やっと寝た。あきとぉ…ハイテンションすぎだ」
マサ君はあきとくんの寝かしつけに1時間もかかった。私達も悪いわ…あきとくんのはしゃぐ声や笑顔がかわいくて、テンションを高くしてしまったから。千尋さんにラインで叱られたわ…

「絵本何冊読んだの?」私はアイスコーヒーをマサ君に渡した。
「最初は絵本読んでたけどさ、あきとが一杯話してくれたんだ」
「どんなこと?」
「毎日のごはんのことや、ともだちのことや、あきとはお絵かき教室とスイミングに行ってるんだって。今日はお絵かき教室が終わってから来たんだと」
「へぇ…お絵かき教室かぁ。スイミングは美裕ちゃんのエリア外だけどね!あぁ…明日はどこ行くの?ずっと家にいるつもりはないでしょう?マサ君!あぁ…マサ君って言うのはダメね。私もパパぁって呼んでいい?マサ君」美裕は笑いながら俺に言った。

「俺ぇ…アンタの父親になった覚えないけど(笑)まぁ…息子の前でマサ君はね!あきとが帰るまでだぞ!美裕ちゃん」
「はいはい!ね…考えてなかったらここ行かない?」
美裕はタブレットの画面を俺に見せた。