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月とコンビニ
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2作品目 「レンジ・イモータル‐ゼロドリップ」

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 セイズ・ガレオン砲。セイ博士の名付けた合体武器である。砲弾は的に直撃した。

是清   つ、つぶれてく! 潰れてくよ!
芹沢   もしかして、重力に変化が出ている?
是清   こ、これで終わりか?
芹沢   ダメよ! サングラスを外してはダメ!
是清   え?
終無   馬鹿野郎っ、トラウマになっちまうぞ!
是清   いてぇっ、なんで殴るの!?
田中   いや、こればかりは守藤に助けられたな。

 サングラスを外したら、自分たちがぐちゃぐちゃに潰した消化生物が人間に見えてしまう。それを避けようと咄嗟に殴って視界をずらしたのだ。決して個人的な恨みはない、と思う。
 サングラスは吹き飛んでいったが……。

純   何をしているの!
終無   しまった! 一般人に見つかった!
是清   み、未知流ちゃん?
純   え、是清君? 何その格好……
芹沢   是清君、それはAIよ。
純   だれ? 是清君の知り合い?
芹沢   芹沢よ。未知流、あなたがAIだということはずっと前から知っていたわ。無駄よ、今は五対一、計算は得意でしょう?
純   不幸女め。
是清   クラスメイトだぞ、AIだって? そんなわけあるか!
芹沢   是清は彼女のことが好きだったのよね。
終無   ほらよ。かけてみな。
是清   ……うそだ……未知流ちゃん……うそだ!
田中   これが本当の世界なんだ。
是清   何を信じていたらいいんだ。
純   是清君は人間じゃなくなったんだね。
是清   ……え? 人間…じゃない?
純   もう友達ではいられないよ。じゃあね。

 未知流は去っていった。

田中   持ち帰りましょう。

五人は仕留めた消化生物を基地まで引っ張って帰還した。

セイ   少々バタバタしてしまってご挨拶がまぁだだったねえ。私は象堂征一郎、超天才セイ博士と呼んでくれ給えええい!
芹沢   セイ博士でいいわよ。
田中   グリーン担当の田中一洋です。いっちーと呼んでください。
是清   あの、いっちーさんチャック空いてますよ
田中   わざとだ。
終無   そいつマジでわざとだから気にするな。俺はブルーの守藤だ。マリーちゃんは渡さねぇかんな。
芹沢   名前も名乗れ。守藤終無。
是清   え、エンドレス……?
終無   その名で呼ぶなぁああ!
マリー   エンちゃんはエンちゃんでいいのにー。
終無   エンちゃんでぇーすっ。
マリー   私はピンクのマリー・ピアット。マリーちゃんって呼んでね是清君っ。
芹沢   私は知っているわね。クラスメイトの芹沢美蘭よ。ここでもよろしく。パープルを担当してるわ。
コンビニ   みな自己紹介は終わったかな。私はこの機関のデータベース、ドリップ・マートだ。これからよろしく頼むぞ。
是清   ドリップ・マートって
コンビニ   そう、このコンビニそのものが私だ。ちなみに発注や経理なども私がやっている。
セイ   他に聞きたいことはあるかぁい?
是清   こいつは何かってことかな。
セイ   消化生物のことかい? これは補正因子を過剰摂取した人間が怪物化した姿さ。
是清   じゃあさっきのAIは? 未知流は?
セイ   AI、奴らも来てたのかぁい。
田中   すぐに去っていきましたがね。さて、みなさん今日の手配書を確認しに行きましょうか。

 是清を残し他のメンバーは部屋を出た。

是清   戦ってわかったことがある。みんな嘘つきだってことだ。
セイ   嘘つきね、そうかもしれなぁい。魅せられている世界は「消化生物」「AI」「人間」全てを騙してる。嘘の世界では嘘が全てを構成していたのだから。
是清   AIも敵になるのか?
セイ   半分正~解~。説明したげて。
コンビニ   AIには、昔定められたロボット三原則が適用されている。奴らは「補正因子」に支配されても、その一つ「人間への安全性」は書き換え不可だった。「人間」には。でも、「消化生物」や君たち「イモータル」は人間じゃないから抹殺対象になり得るってことなのだ。だから敵でもあるし、共通の敵を持つ同士とも言える。
セイ   ま! やっぱり敵なんだけどね~え!
是清   ま、待ってくれ、おれが、人間じゃ、ないって? ははは、何言ってんすか。
セイ   色々説明してあげてよぉ~。
コンビニ   承知。是清君、モニターを見てくれ。私が軽く説明してあげよう。
       まずは「消化生物」。奴らは「補正因子」を過剰摂取した人間の成れの果てと説明したが、それでも「消化生物」にならずに済んだ者達も多数存在している。それが君たち「イモータル」と呼ばれる者たちだ。「イモータル」は消化を免れた人間であるが、実質死亡している。人間じゃなくなる課程を経たのだから当然だな。その副作用としては、身体能力の向上があるのだが、それはもう経験済みだね。だから君たちはもう人間ではない。
是清   あれはスーツの力じゃないのか!?
セイ   そんなん作れたら僕ぁスーパーハイパーヒーローだねぇ~え!
是清   いやあの武器だけでもムチャクチャすごいっすよ!
セイ   はっはっは、そんなそんな、褒め給えよ、はっはっは。
コンビニ   ところで是清君は知っているかな。すでに地球の総人口は七十億人にまで削減されていることを。各地で我々の同類たちが戦い、定期的に「消化」が行われている結果なのだ。しかし、この消化作業は一向に収まる気配がない。これを我々は暴走状態と仮定している。それを止めなくてはいけないのだ。
是清   止まらないのか?
セイ   わからないんだああ! でもまずは抑制しないといけないのだよぉお!
是清   皆敵なのか、未知流ちゃんも敵なのか、AIだとしても、未知流ちゃんとは戦いたくない!
芹沢   安心して、全てのAIが敵ではないわ。場合によっては共闘することもあったから。

 芹沢はガチャガチャと色々なものを運んできた。消化生物の解剖道具だ。

セイ   手配書はどーうだったー?
芹沢   ランキングアップよ。是清君が加わってくれたおかげね。さっそくAIのチームに狙われたわ。
セイ   大変だねぇ、がぁんばってー。死んじゃダメだよー?
是清   またそんな危ない戦いがあるのおっ?
芹沢   「ブラック・アイズ」って聞いたことのないチームだったけどね。
終無   あー、おい是清。さっきのAI知り合いつってたか。
是清   未知流ちゃんのこと?
終無   ああ、そいつら今戦闘中みたいだぞ。一応伝えといてやる。
是清   え! た、助けに行かなきゃ!
芹沢   今戻ったばかりよ。AIを助ける義理もないでしょう。
是清   クラスメイトだ!
芹沢   好きな人でしょ。
是清   ちっちが……芹沢さん! 話を逸らさないで!
田中   行くかい?
芹沢   いっちー!?
田中   私の条件を飲んでくれるなら、協力しますよ。
是清   わかった。お願いしたい。



 国道のど真ん中で激しい戦闘をしている純未知流と春日野輝火。いくつかの車はひっく
り返り、信号機もへし折れている。

輝火   抜けるなんて許さないよ未知流。