2作品目 「レンジ・イモータル‐ゼロドリップ」
是清 地球が、人間を殺すために?
芹沢 そう、それを私たちは「消化作業」と呼んでいるわ。
是清 でも身体はなんともないけど
芹沢 それが「補正因子」の特徴よ。感染者は視覚を操作されて、人型AIロボットを人間だと判断するようになるの。
是清 それに何の意味が?
芹沢 人類の生殖機能を奪うため。人間と人間が恋に落ちれば人間は増え続けるでしょう? けれどそれがロボットと人間なら?
是清 子はできない……そういうことか。
芹沢 そうよ。それが第一段階。でもこれは大した問題じゃない。
是清 第一段階? まだ何かあるのか?
警報装置が作動した。館内に「消化生物」襲来を知らせる放送が流れる。
コンビニ イモータルズよ「消化生物」襲来だ、これより迎撃態勢へ移行する。征一郎、新人が入ったようだな。いまこそその力を見せる時だ。集結せよ! ドリップ・イモータルズ!
芹沢 来たわね。「消化生物」これが危険な症状である第二段階。
セイ はっはーーーー!! 皆ぁ、是清君のところにしゅーーーーごーーーーだーーーー!!! うっひょひょーーーぶちかませーーーーー♪
芹沢 人間の「消化」。ばら撒かれた「補正因子」を過剰摂取した人間は、地球の消火作業を手伝う怪物になってしまうの。
是清 なんだよそれ、聞いたことないぞ。信じられるかよ。
芹沢 最近頻発している惨殺事件の真相よ。
是清 ……まじかよ……。怖え……。
芹沢 そうね。でもそうも言ってられないわ。これからあなたは、その怪物を退治していく立場になったのだから。
終無 いきなり任務たぁ、運がワリィ奴だぜ。
是清が縛られている部屋の天井から現れた青いスーツの守藤終無は着地した。
終無 冷たく燃える嫉妬の炎。イモータルブルー!
気がつくと是清の頭に手を置いているピンクスーツのマリー・ピアット。
マリー 愛は全てを救うから。イモータルピンク!
ドアを勢い良く明けたかと思えば、ゆっくりとモデル歩きで近づいてくる緑色の田中一
洋。しかし閉め忘れか、チャック全開で首から腰まで肌色全開である。緑と言っていいの
だろうか。
田中 体づくりが生命の基本。イモータルグリーン!
芹沢 そして、是清君。私がパープル。妖艶な魅力が地球を救う。イモータルパープル!
叫びと共に芹沢美蘭の身体が輝き、一瞬で紫スーツの覆面に変身した。
セイ ついに。ついについについに私の組織にレッドが参入してくれた! 是清君! この指輪をはめたまえ。重力を生み出す真っ赤な果実。イモータルレッド! 袴田是清だぁぁぁぁぁぁ!!!!
指輪をはめられた是清はこの状況に引いていた。各々が変身のため自分の目の前で決め
台詞を堂々と放ったことに。そして、レッドの変身セリフを強要されていることに。
コンビニ さぁ、是清君んんんっ、いや、レッェドオ! イモォーーーータルレェェッドよ! ついいいにぃ! ドリップ・イモータルズが集結したあっ!
是清 さっきから誰だよこの声……いい声してんな!
コンビニ 小さなことは気にするなイモータルレッド! 「消化生物」を排除するのだ!
芹沢 是清君。
終無 とっととしろ。
マリー きよくん。
田中 袴田、時間がない。
セイ さぁ! 変身するんだ!
是清 ええいくそ! わかったよ! 重力を生み出す真っ赤な果実! イモータルレ
ッド!
是清の身体が光り輝く。是清を拘束していた器具は全て弾け、自由の身となった。
是清 なんだこれ、力が湧いてくる?
コンビニ イモータルズよ! 出動だ!
マ終田芹 はっ!
是清 え、あ、はい!
天井に空いた暗い穴に勢い良く吸い込まれる五人。安全性はどうなのだろうかと疑問に思うが、彼らは上手く地上に吐き出された。
是清 ふおおおっ
芹沢 これを着けて。
是清 このサングラスは?
全員、それぞれのカラーに合わせたサングラスを掛けていた。手渡されたサングラスをかけた是清は目の前の景色に声を失う。
そんなことはどうでもいいという風に芹沢は高く飛び上がった。
芹沢 私は「消化生物」を探してくるわね。
是清 なんなんだよ、これ……どうなってんだよ!
終無 これが現在の地球の本当の姿だ。
是清 今までの世界が嘘だったって、本当なのかよ……。
マリー 寂しくなったらぎゅーってしてあげるよ?
田中 セイ博士の発明品の一つが、このサングラス。補正因子の影響を緩和させてくれる。普段見せられていた偽物の世界も消えたでしょう? 実際の地球は、もうこんな有様なんだよ。
是清 こんな世界、守る意味あんのかよ……
田中 守るんじゃない、戦うんだ。
終無 そのサングラスは大事に扱えよ、俺らが「消化生物」を見分けるには、欠かせないもんだからな。
是清 ……その「消化生物」って一体何なんだよ
終無 ほんと何も知らねぇのな、いいかテメェ、無知は早死するぜ。
田中 エンドレス、芹沢が発見したようだ。
終無 !!その名前で呼ぶんじゃねぇえ!!
田中 是清君、話は後にしよう。まずは任務だよ。
終無 先行ってるぜー。
田中 まったく、チームなんて名ばかりだな。期待してるよ是清君。
全員が超跳躍で飛び立った。
是清 すっげぇ~~~、このスーツもセイ博士の発明品なのか!?
マリー 降りてきてー、こっちだよー。
消化生物 我々の邪魔をするな寄生虫めがアアア!!
芹沢 堅いわね
終無 動きを止めてやんよ。
宿主の喉を使って地球の意思を発信している「消化生物」と対峙する四人のイモータルズは両手を合わせた。電流とともにそれぞれに対応した武器が出現する。
ブルーは腕からワイヤーを引きずり出し、消化生物に巻きつけ柱に固定した。
田中 皆さん、離れてください。フウウンガアアアッ!!!
グリーンは一瞬力を込めると全身が倍に膨らんだ。そのパワーを全て消化生物の顔面にめり込ませる。
マリー あなたは私の養分よ♪ お・い・しぃっ
ピンクが消化生物に棒を突き刺すとみるみるうちに萎んでいく。生命力を吸い取っているのだ。
芹沢 さ、トドメは是清君に任せるわ。いったいどんな能力なのか試してみなさい。
是清 能力? ……う、おぉ……
両手を合わせると是清の目の前にゴツメの拳銃が現れた。消化生物に放つと、周囲の瓦礫を巻き込み「消化生物」に重い衝撃波が。
田中 レッドが揃って、私達のチームもやっとできるようになった。やってみないか?
終無 おうやってみよーじゃねぇか!
芹沢 いいんじゃない? もう勝負はついてるけど。
全員が是清を中心に集まった。それぞれの武器を中心にまとめると、自然とトランスフォームしていく。一つの大砲のような武器に変化し、一斉に技を繰り出す。
全員 翔べぇ! セイズ・ガレオン砲!! ドリップ・レンジ・ショット!!
作品名:2作品目 「レンジ・イモータル‐ゼロドリップ」 作家名:月とコンビニ