2作品目 「レンジ・イモータル‐ゼロドリップ」
未知流 あなたの許しなんてどうでもいい。
輝火 私らの敵は「イモータル」だ。あんたはそれが嫌だっての!?
未知流 違う。私には敵も味方もいらない。気に食わないやつが敵だ。
輝火 ぷちーん、だったらお前気に食わねぇからあたしの敵な。
未知流 かまわないよ。とにかく私は「ブラック・アイズ」を抜ける。それだけ言いに来た。
その会話の中心に爆弾が投げ込まれた。
未知流 くっ
輝火 誰だ! ちくしょう!
二人が辺りを見回しても誰もいない。すぐに暗視モードへ移行した未知流だけが、声の
場所を突き止めていた。街頭の消えた、暗闇から声がやって来る。
田中 何者だと聞かれても
是清 助けを求む呼び声に
芹沢 応えてしまうが世の信条
マリー 愛と平和がある限り
終無 君を助けに飛び立つぜ
是清 袴田是清!
終無 守藤終無!
田中 田中一洋!
マリー マリー・ピアット!
芹沢 芹沢美蘭!
是清 人ならざりとも人となる!
全員 我らドリップ・イモータルズ! 参上!
是清 君を戴きに来ちゃったぜっ♪(パンッて指鉄砲)
一人づつに担当カラーの明りが当たり、最後に全てのカラーの爆発が起こった。大爆煙
の中からそれぞれが歩き出てくる。
田中 一回やりたかったのだよ、こういう登場。
終無 ゲホゲホ、ちょ、爆発でかすぎね? 煙やべぇ
マリー ねぇそれより待ってポーズにまとまりがないの。
是清 てかなんで本名名乗っちゃったの!? レッドとかブルーじゃなくて!?
田中 それでは味気ないから本名でやってみました。不満ですか?
是清 いや、恥ずかしいじゃん。あそこにいるのクラスメイトだし!
芹沢 だがAIだ、気にするな。
是清 無理だよー。あ、未知流ちゃん助けに来たよー! おーい!
輝火 イモータルか! ちっ面倒な。
未知流 是清君、余計なお世話。
終無 はっ、言われてやんの。
マリー エンちゃん何気手伝ってるしぃ。
終無 仕方ねぇからね、仕方ねぇからさ。
芹沢 で、私たちはどうやって助ければいいの? あのAIを倒せばいいの?
是清 いや、言ったでしょう。未知流ちゃんを戴きに来たって。
終無 おいおいまさか連れ帰んのか!?
是清 うん。
終無 じょ
芹沢 冗談じゃないわ! 何考えてるの!? あいつらは敵なの! 倒すの、壊すしか無いのよ!
田中 まぁ待ってください、案外使えるかもしれないですよ。
是清 芹沢さん、そんな怒らないでも
芹沢 るさいわね!
輝火 来なさいアイズ。
輝火の呼び声で多数の小型AIが出現した。
輝火 未知流とイモータルを仕留めなさい。
未知流 手間が増えただけじゃない。
是清 なんてこった! どうしよう!
田中 私たちは小さいのをなんとかしましょうか。
全員両手を合わせて武器を出した。
マリーは棒を振り回し、頭部を破壊し続ける。終無はワイヤーで投げ飛ばし、蜘蛛のように辺りを飛び回る。田中は注射器を首に打ち込み、強力なパワーで潰し、芹沢は小刀で鮮やかに分断していた。
是清はというと拳銃を構えたまま未知流の方へ飛び込んでいく。
未知流は輝火と両腕を变化させた光線剣で戦っていた。わずかに未知流が押しているようだ。
是清 未知流ちゃん! 離れて!
是清は輝火に向かって拳銃を放つ。ミキミキと音を鳴らして吹き飛んでいった。
未知流 なに!? なんでこっちにくるの!?
是清 友達がやられてるからだよ! いいから助けさせろ!
未知流 はぁ? なにその言い方ダサい。
輝火 プツプツプツ…。「クエイク」行きなさい。
未知流 改造消化生物……
是清 なんだ、あれ
未知流 消化生物を機械化した私達のペットよ。
是清 ペェェットォー。ペットォ。ペットォですかぁ。
終無 なんなんだよありゃあ初めて見たぞ。
田中 是清君! 彼一人では危険だ!
マリー でもこっちも、数が多くて!
輝火 未知流ぅ! おまえが「ブラック・アイズ」を抜けることは許さない! また来た時にもう一度考えを聞いてやる、よく考えておくんだな。
クエイク、任せたぞ。
クエイク わかったぁーままー。
輝火は逃げていった。残された改造消化生物「クエイク」と小型AI「アイズ」を倒すだ
けとなる。
未知流 是清君協力してもらうわよ。
是清 元からそのつもりさ。
芹沢 そうするしか助かる道はないわね。
終無 マリーちゃん、あいつら仲よさげじゃない?
マリー エンちゃん
終無 なんだいマリーちゃ
マリー うざい。
終無 へ?
終無が捕まえた小型AIを次々と叩き壊すマリーが鬼のようだった。
是清 うっわ、あんま効かねぇ!
未知流 当たり前! どんだけ固く仕上げたか。
マリー 助けに来たよ是清君! か、固くて刺さらない……っ。
是清 セイズ・ガレオン砲しか無い。
マリー でもあっちも大変なの
是清 じゃあ、こいつをあっちに連れて行こう。未知流ちゃん、マリーちゃん!
未知流 ふぐッ!!!
呼んだ時には遅く、未知流は吹き飛ばされた。
是清 未知流ちゃん! くそ! こっちだこっちに来い!
未知流から目標を削ぐために何発も打ち込む是清。なんとか視線を向かすことに成功し
た。
是清 皆! ガレオンの準備を!
田中 是清君レッド感が出てきましたねぇ!
是清 いっちーさんに言われると嬉しいっすね。
芹沢 さぁ構えるのよ。
マリー エンちゃんは!?
芹沢 まだあそこにぶら下がってるわ!
是清 なんで!?
田中 動いてないですね。
是清 もしかしてやられたのか!?
芹沢 いえ、放心してる感じ、かな?
是清 なんでだよ! 終無! こっちにこい!
改造消化生物が向かってくるが終無は動かない。しかし、張り巡らされたワイヤーが「クエイク」の動きを運良く停める。
その衝撃で終無は弾き飛ばされた。
田中 終無! 連れ戻さなければ!
田中が走り出そうとした、その時。未知流が飛び込んできて、終無を拾い投げる。
未知流 ほらっ。
是清 大丈夫なの未知流ちゃん!
未知流 早く、やっちゃいな。
未知流はイモータルズの後ろで倒れた。
田中 起きるんだ終無。
是清 セイズ・ガレオン砲! セット!
五人は武器を重ね合わせる。終無のワイヤーが改造消化生物を引き止めている僅かな時間をムダにしないために。
全員 ドリップ・レンジ・ショット!!
☆
改造消化生物を滅したドリップ・イモータルズは未知流を基地へ連れ帰った。基地内ではセイ博士が成人誌を読んで待っていた。
セイ やぁ、おーかえりー。
芹沢 何読んでるんですか!
是清 それおれが買ってきたやつじゃ
終無 おれのとろろ食ってる!
マリー 私のレーズンパン……
作品名:2作品目 「レンジ・イモータル‐ゼロドリップ」 作家名:月とコンビニ