赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 36話~40話
赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (38)
朝からラーメンが食べられる街
清子の前に姿を見せたのは、セーラー服を着た17歳の少女。
真っ白の靴下に、真っ赤な鼻緒の下駄が鮮やかだ。
たまの姿を見た瞬間。
「うわ。この子が、噂のたまかいな。
本当や。着物を着た女の子の懐にきっちり収まっているなんて、なんとも
可愛いところがあるやんか。
お前。三毛猫のオスなんだってねぇ。・・・
へぇぇ。そう言われてみれば、なにやら凛々しい雰囲気が、
どことなく漂っているわねぇ。お前っ」
「こらこら。恭子。
いきなり、それでは、お客様に失礼すぎるだろう。
市さんと清子ちゃんにご挨拶する前に、猫に愛想を言ってどうするんだ。
すいませんねぇ。市さん。
失礼なところばかりをお見せして。
なにしろ、女房に死なれてから、ワシは仕事にばかり追われて、
この子の躾(しつけ)もろくろく出来ません。
年頃だというのに、世間知らずのまま、相変わらずこんな有様です。
女の子には、母親が必要不可欠のようですなぁ」
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 36話~40話 作家名:落合順平