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遅くない、スタートライン第2部 第5話 8//27更新

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「そうなんだ…亡くなったお父さんが言った附属高校に入学したから、バンド仲間の卓さん達と知り合えたんだよね。また違う高校行ってたら人生変わってたかもよ」
「かもなぁ…あ、俺は2歳の子供いるって言ったよね?もう3歳なったかな…この前さ電話があったんだ。俺のスマホに…」
「えぇ…1人でかけたの?3歳の子が…」美裕は驚いてた。

「じゃないと思うよ。俺は嫁さんの実家には携帯の番号と住んでる所はちゃんと連絡してた。離婚した当時は嫁さんは俺には絶対子供に逢わせないし、近づかないでって言われてたけど。そういう訳にいかないだろ…だからお義母さんには教えてたんだ。たぶんお義母さんだと思う!自分の携帯電話から俺の番号を押して、あ…息子さ、あきとって言うんだ」
「あきとくん…どんな字を書くの?」

俺は美裕の手のひらに漢字名を書いた。
「明るいに人…あきと」
「いい名前ね。マサ君がつけたの?」
「うん。男の子なら俺、女の子なら嫁さんって。嫁さんの妊娠が分かった時に俺は取材旅行で留守にしてて、妊娠初期のつわりがひどい時も仕事を理由に家にいなかった。あの当時の俺は作家業が波に乗ってて、また自分が出した本が売れていくのが嬉しくてさ、もっと書きたいと思ってた。家で執筆するとさ、嫁さんも初めての妊娠で不安で情緒不安定でね。嫁さんが言った一言に俺キレたり、俺が言った一言で嫁さんは泣くわ、叫ぶわで、俺…もう限界で家の近くにマンション借りてしまった。そこからは嫁さんのいる家は寝に帰る家になっちゃった」

美裕は俺の手に自分の手を重ねてこう言った。
「私もマサ君の事言えないよぉ。私はパティシエの仕事が忙しいのいいことに、家事はしない、休みの日は昼まで寝て、あきら先生を体のいい家政婦に使ってたんだもん。私も同じだよ…独身時代と違うのにね!あきら先生が作ったご飯を当然のように食べて、パティシエのコック服もあきら先生に洗わせて、アイロンかけてもらってバックに詰め込んでいくの。ショップで嫌なことがあったりムカつくことあったりしたら、あきら先生悪くないのに、あきら先生に怒ったりした。ホントあの当時の私は最低でした。でも、そんな経験があるから今度はちゃんとしようって。仕事を理由に逃げちゃいけない、家の事は出来る範囲でしようって思ってるわ」
「だよな。無理するからどっかでキレちゃうんだ。今度の結婚生活は俺も前の結婚生活で失敗したところ、今度はうまくできるように頑張りますよ。あ、それでさ、あきとの電話の件なんだけど」…マサ君は普段は口に出さないけど、息子の事は心配してたんだな。

3歳のあきとくんは、バァバの携帯電話でパパであるマサ君にこう言ったんだ。
「なつやすみに、パパにあいたい」って。マサ君は離婚した当時は、お義父さん娘以上に怒っていて電話もするな!二度とこの家に来るなとか言われたらしい。だから自分からは連絡はしなかったが、お義母さんには連絡先の書いたメモを渡した。お義母さんも怒っていたが、メモを受け取ってくれたそうだ。別れた当時はあきとくんは1歳の誕生日を迎えたばかりで、その1歳の誕生日は家でお祝いをしたそうだ。それからすぐに離婚届を出してマサ君は家を出たそうだ。

3歳のあきとくんは、3年保育の幼稚園に通っていた。2年前はお義父さんもまだお元気で、会社役員をしながらお義母さんと戻ってきた娘とあきとくんで暮らしていたが、事情が変わった…娘が再婚しまた、その再婚相手と海外で暮らすと言ったのだ。あきとくんは2歳になったばかり、2歳の子がママと離れるなんて思いもしないだろう。

「俺もさ…再婚するのはいいよ!元奥さんが…俺的にはあきとも一緒に暮らすと思ってたんだ。それがさ、元奥さんだけが海外に行っちゃったんだ。2歳のあきとにはママはお仕事で遠くにいるって言い聞かせていたんだ。お義父さんもお義母さんも!それが3歳なって幼稚園に行きだしたらさ…」マサ君の言いたい事はよくわかる。

「他の子はパパとママがいるのに、自分にはどうしていないんだ?って聞いたそうだ」
「聞くよね…もうお仕事で遠くにいるってゴマかせなくなったんだね」
「うん。ママは逢えないけど、パパには逢えるってわかったんだ。ほら…俺最近になってメディア雑誌とか顔写真載ってるだろう。1歳なってすぐに別れたのに、俺の顔なんて知らないだろうて思ってたんだ。そしたらさ、バァバが【この人…あきとのパパだよ】って教えたらしいんだ。お義父さんがそばにいたら、絶対言わないと思う。あきとの電話の後にお義母さんと話したんだ」

どうやら…事情があるらしい。またお義父さんが入院していて、あきとくんの今後の事を話したいとお義母さんはマサ君に言ったそうだ。また、この時に正直にマサ君が話してくれたから、私はこれから起きる問題に対処できたかと思っている。