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遅くない、スタートライン第2部 第5話 8//27更新

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(3)

もうすぐ結婚式だ。私達は教会式ではなく、カフェの庭で人前結婚式を挙げることにした。私もマサ君もあまり大人数を招待していない。ホント20数名をご招待した。結婚式前とあって花嫁のエステとヘアサロンにネイルなど(千尋さんが勝手に予定を組んだ)忙しいのだ。この頃のカフェは軽食も始めてたので、11時〜13時まで軽食タイムにして(これも人数限定)で後は通常のカフェタイムだ。最近ではオープン当初みたいに作れるだけ作るというのはやめた。ショーケースのスィーツもカフェで食べるスィーツも同じにした。焼き菓子はショーケースにコーナーを設け、そこのバスケット一杯に入れて売り切れたら終わりとした。これで結構1日持つものだ…また10個以上は予約注文とさせてもらった。

今日も軽食タイムが済んでから、スィーツの在庫を確認して千尋さんに後をお願いしてカフェを出た。有ちゃんと有ちゃんの友達2名をアルバイトに雇ったので、千尋さんと雄介義兄さんいるし。諒ちゃんもいる…諒ちゃんは手伝いもしてくれるが、私が許可をして材料は自分で調達してきて、店のオーブンを使い夏の留学に向けてお勉強中だ。諒ちゃんは勉強に借りてるからお金はいいとか言ったけど、そういうわけにはいかない。キッチンでカフェの仕事をしてるときは、あまり高くないがそれなりに諒ちゃんには渡している。

私は紙袋3個を持軽自動車のリアシートに置いた。あ、私のです。買ったのぉ (*^^*)運転免許は製菓専門学校時代に合宿免許で取ったわ。でも中々乗る機会がなくて、マサ君とお付き合い始めた頃に健兄ちゃん(バイクも自動車もプロですもん)教えてもらいながら、またマサ君にも教えてもらって、最近1人で乗れるようになったのだ。今日はマサ君のレコーディングスタジオに陣中見舞いを持って行って、その足でエステとヘアサロンとネイル行って、また帰りにテレビ局の仕事があるマサ君を迎えに行くことになっている。

俺は今日はスタジオでレコーディングしてから、テレビ局のドラマの進行具合をチェックしに来た。また合間に音楽プロデューサーと今度発売する新曲やベストアルバムなどの打ち合わせもした。明後日から俺はプチ休暇をもらっている。来週結婚式なんで色々と忙しいんだ!美裕も動けるときに動いてるが、2人一緒じゃなきゃダメなと時もあるだろう。明日からそれらを済まさなきゃ!美裕の引越もあるんだ…俺ら別居婚はしません!レコーディングが終わったら俺は、多少イレギュラーはあるかもしれんが、基本は作家業専念だ。俺は主夫もする予定だ!美裕は朝から晩までカフェにいるしな。ま、料理もできる掃除も洗濯もできるから大丈夫だと思うけど?俺 (*^^*)


テレビ局のプロデューサー達も今日の俺のチェックが終わったら、俺がしばらく捕まらないと思っているみたいで、時間差攻撃で打ち合わせを入れやがった!ま、美裕もそれは想定内で俺には【ちゃんとお仕事してね!明日から休みだよ】とラインの絵文字もつけて送ってきたな。はいはい!しますわ…明日からの楽しいプチ休暇だ。やってきますよ!


私は車の中で待ってるつもりだったが、ドラマスタッフの1人が駐車場まで来て、手を引っ張って連れ出された。どこ行くのよぉ?

私は音楽プロデューサーがいるスタジオに入った。本来なら関係者以外は立ち入り禁止のはずのなに、マサ君ことMASATOさんが私を呼んできてとスタッフに頼んだそうだ。新曲のVTR分を収録しているそうだ。デモテープは聞いたことがあったが、生で聞いたのは初めてだった。私は以前…マサ君が鼻歌を歌ってるのは聞いたことある。MASATOとしての歌声は聞いたことがないんだ!デモテープでも生のMASATOの声で感動したけど、やはりスタジオでテレビに放映される分は全然違う!私はスタジオの中で歌うMASATOの声と姿に現実の世界を忘れてしまったようだ。


スタジオの収録が終わって、ドアの外に出たら…スタッフがタオルや冷えピタをもってバタバタしていた。なんだ…これ?えぇ…もしやぁ!
スタジオのソファで寝かされた美裕が俺の目に映った。三ちゃんは俺の顔を見て美裕を指さした。
「美裕さん、収録見ているうちに…終わったら声かけたら無反応で!肩揺すったら俺の方に倒れてきたんです」


「あぁ…こりゃあかんわ。ごめん!三ちゃん!俺のスマホで千尋さんに電話かけて」
正気失った美裕の対処は姉である千尋さんに聞くのが一番手っ取り早いさ。三ちゃんが千尋さんに電話をかけて俺の耳にスマホを当てた。
「ったくぅ!うちの妹は、MASATOの生ボイスと姿にヤラれちゃったのね。大丈夫よ!冷たいタオルをオデコに乗せて、目が覚めたら水分取らせて!マサ君!美裕が目覚める前に普段のマサ君に戻りなさい。また気を失うわ」

さすが姉…目覚めた後の指示も的確だ。俺はパーテーションの向こう側で私服に着替え、いつもの眼鏡をかけた。スタッフはそんな俺を興味深そうに見ていた。三ちゃんはスタッフに口に指をあて、うなづいた。静かにしろだな!

俺は美裕をオンブして駐車場に行った。美裕の荷物は三ちゃんが持ってついて来てくれた。あれからすぐに目を覚ましたが、千尋さんにすぐに歩かせてはいけないと言われた。美裕は貧血があるんだ…薬と鉄剤を飲んでるが、最近は調子もよく落ち着いていたので、サプリメントだけ飲んでいる。千尋さん曰く…油断すると貧血がぶり返すと言っていた。ポーチの中に貧血の薬が入っているから、起きたら飲ませてと言われた。

俺はスタッフにミネラルウォーターをもらって、美裕に貧血の薬を飲ませた。美裕は歩くと言ったけどな…俺は歩かさなかった。また廊下で倒れたら困るし!ま、いつものマサ君はコットンシャツにダメージジーンズに髪の毛ハネて、眼鏡をかけりゃいいんだ。誰もMASATOって気づかないさ。

「車は俺が運転する!まだ時間あるから、先生のとこで点滴受けるか?」あの主治医さんだ!
「大丈夫…薬飲んだから。そ、そのごめんなさい」と美裕の謝る声が聞こえた。後ろの三ちゃんは笑ってたけどな。
三ちゃんは美裕の横に来て、美裕の代わりに代弁した。

「生のMASATOの声と姿にヤラれちゃったんだよね。カッコよくて生ボイスだ!あっちの世界に行っても仕方ないよ。後で車の中でさ、マサ君かっこいいって言ってやりなさい。こいつ…怒ってないよ。全然」その通りだ…俺は怒るどころか嬉しかった。

美裕は三ちゃんが言った言葉に、耳まで赤くしていた。
「三ちゃん…これ以上うちのフィアンセさんカラかわないように。この後まだ予定がこざいますのよ。結婚式関係の!」
「そうでしたね。すんません…」笑いながら、謝った三ちゃんだ。