遅くない、スタートライン第2部 第5話 8//27更新
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翌朝…じゃなかった。俺らは昼まで寝てた!もう爆睡してた…美裕も俺の肩に頭乗せて気持ちよさそうな寝息を立てていた。こいつだってすんごい疲れてるんだ!カフェの仕事に作家業とテレビの製菓監修の仕事と、結婚式の準備だろう?俺は美裕のオデコにかかった髪を指でかきわけた。美裕の目が開いた。
「おはよぉ…じゃないわ。こんにちわぁ!もう12時です。起きませんか…もっと寝たいだろうけどさ。美裕さん」
「うん。起きよう…時間もったいない!さて、マサ君…久しぶりに敷きパッドと枕カバーも洗おう!その間にブランチして」
「了解(*^^*) さて起きましょう」俺と美裕はベッドを出た。
美裕も俺の横で執筆をしている。簡単なパーテーションで仕切ってちょっと背を伸ばせばお互いの姿が見える。美裕も俺も個室をと思ったが、美裕は俺の横で書きたいそうだ。わからなかったら、教えてもらえると思ったみたいだ。俺も美裕に教えてもらうこともある。
「ここでこの展開はあり?」美裕は俺に画面を指さした。俺は画面をのぞき込む。
「なくもないけど、ありきたりじゃ面白くないと思って書いたんだろう?その展開で話が続くか書いてみれば?」
「はぁい!MASATO先生」美裕はそのままキーボードで入力していった。
2時間ぐらい執筆して、俺達は外に出た。今から結婚式の打ち合わせだよ!ま、仕事じゃないからさ。気分は楽さ!
またこの時に俺は週刊誌に写真を撮られたらしい。美裕も今度は顔隠しなかった。前はあったんだ…俺もそろそろ発表しなきゃいけないらしいが、どこで発表するかだな。ま、社長達にも相談しないとな。また勝手にしたら今度はすんげぇ怒られるのは目に見えてるから。
ブライダルサロンで美裕は今…カラードレスを合わせてる。ウェディングドレスだけでいいと美裕は言ったが、ブライダルサロンの担当者からカラードレスが新入荷したからどうだ?と俺に連絡してきた。俺は先にカタログをPDFファイルで送ってもらった。またいい…カラードレスがあった。美裕に似合うと思った…それをキープしてもらって今日美裕を連れて来たんだ。
「……ワタシ、こんなカラー着たことないし、デコルテ部分もこんなに出てるなんて」
フィッテイングルームから出てきた美裕は、ちょっと顔を赤くしていた。スタッフも俺もそうは思わなかったが。でもよく似合っていたし、スタッフも俺もいいと思ったから、美裕は俺の顔を見ながら「これにする」と言った。いや…パーティ当日楽しみだ。俺は写メを撮り、千尋さんに送った。すぐに返事がきて美裕に見せてやった。美裕は嬉しそうだった…後で健太郎さんにも送ってやろう!
俺達はブライダルサロンのカウンターで、挙式の打ち合わせをした。カフェでのパーティは、ブライダルサロンの紹介でパーティ料理専門のショップを紹介してもらった。美裕は自分でウェディングケーキを焼くと言ってる。引菓子の焼き菓子も自分で焼くから、料理だけ頼む事になった。
「ねぇねぇ、MASATO先生と美裕さん!ハネムーンはどーすんの?」ダチのブライダルサロンスタッフが聞いてきた。
俺達はブライダルサロンを出て、旅行会社に行こうかと思ったが。俺も美裕もツアーとか好きじゃなかった!
のども渇いたし、俺達はホテルのティールームに入った。美裕の楽しみはよそのケーキを食べることだ。俺も楽しみだが…俺達は3個のケーキを分けて食べた。美裕はうなづきながら、何かメモしてたな。
「さっきさ、ダチがセットのハネムーンツアーのパンフ持ってきただろう?あれどーだった?」
「いかにも新婚さんツアーだね。マサ君は好きなの?」
「うんにゃ!好かん」俺達はお互いの顔を見て笑った。
「じゃ…どうする?仕事の日程もあるでしょ」美裕は俺の口にラズベリーパイを入れた。
「そーだな!日程はこっちで決めて仕事先には確定で出しちゃえ!この時期に行きたいなんて言ったら行けなくなるわ。美裕もカフェもあるだろう、国内でいい?それとも海外がいい?」
美裕は俺の顔を見て言った。
「飛行機怖いから…国内がいいな。あぁ…私行きたいところある?マサ君はどこか行きたいところある?」
飛行機が怖いって…あぁ美裕は高所恐怖症だったな。そりゃダメだ!
あぁ、そうそう!美裕がカフェオープン前に言ってた個室の件を忘れてたよ!1階の奥に2室用意した。前の美裕の家は1階にキッチンと廊下を挟んでリビングや和室と洋室があった。1階でこれだけの間取りが取れるって広いんだよ。また石畳の道に南側にサンルーフがあり芝生のちょっとした庭があったんだ。樹家の子供達は2階に3部屋とルーフバルコニーがあった。今度のカフェのオープンで、1階はカフェにして、2階は美裕の部屋と事務室とスタッフの休憩室にした。1階はホールにカウンター5席とテーブル席を10席と庭のテラス席にテーブル席を3席用意した。18席でホール3人〜5人で回せるようにしている。千尋さんもずっとレジにいるわけではないし、美裕も手が空いてる時にはホールを手伝うこともできる。また、雄介義兄さんが材料を運んだり、キッチンの片付けもする。こうやって段々…カフェらしくなったんだ。
また俺の作家ダチが、オープンから2日目に個室喫茶を利用して居心地がいいと言っていた。美裕は極力お部屋には入らないように、個室には電子モニターを導入していた。最初に2時間で前払いで1000円の室料と軽食かスィーツかオーダーをしてもらってから、お部屋番号の書いたプレートをお渡していた。利用状況にもよるが延長も1時間までなら可能にした。作家ダチは初回は2時間いて2回目は3時間いた。また美裕はデスクの奥にコンセント2個口を用意し、カフェをWI-FI設定をした。また申し出があれば、店のプリンターを使って印刷もできるようにした。
うーん、これなら居心地がいいわ。デスクもチェアーも俺と一緒に選びに行った時に、美裕は自分で座ったりデスクで書き物をしたりしたもんな。こりゃ…作家目線だ!俺も今度利用してみよう。
作品名:遅くない、スタートライン第2部 第5話 8//27更新 作家名:楓 美風