遅くない、スタートライン第2部 第5話 8//27更新
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美裕のカフェも無事にオープンした。オープンの初日は大成功だった。2日目も3日目も時間を短縮したが、また全部完売だったらしい。俺は両日とも自分の仕事に出ていて、後で千尋さんからラインをもらった。初日に美裕はリゾートホテルのメインパテシィエ様から教えてもらったスィーツも自分なりに研究して(あの短時間でよぉやるわ。美裕も)カフェに出した!メインパテシィエ様から3品とセカンドパティシエ様も2品レシピを教えてくれて、加奈ちゃん達もお得意スィーツを美裕に伝授していったそうだ。
あ、後輩パティシエさんはまだヘルプでいてくれる。美裕の話では、4月中旬まで手伝ってくれて、俺達の結婚式前後も手伝ってくれるそうだ。東京の学校はエエんか?あ、彼は(男子だった)美裕が老舗のショップ時代の後輩で、美裕より4年遅く入ってきた。橋本諒君と言う!28歳でもうすぐ東京の製菓学校を卒業するそうだ。だからか、もう卒業製作は出してOKも出てるそうだ。後は卒業式待ちで現在留学準備中だ。
俺はスタジオで今、レコーディング中だ。7年ぶりに歌手として復帰するが、音楽事務所の社長が復帰と共にドラマの主題歌と今までのアルバムのベストCDと今の俺のDVDを出そうと言った。ッゲ…結婚式の準備だってあるのに、ま…イヤだとは言えなかったわ。これが【おとしまえ】みたいで、俺は作家業と歌手として毎日…スタジオと家の往復だった。昨日も帰ってきたのは日付が変わってた!元マネージャーも俺の歌手復帰にまたマネージャーとして復帰した。このマネさん!千波三太郎さんと言い、俺は三ちゃんと呼んでいる。お年は40歳ぐらいでしょうか?
三ちゃんが運転する車の中で爆睡していた俺だが、美裕の家の近所を通る時に目が覚めた。無意識か(笑)俺は目を凝らしながら、美裕の家の2階を見た。真っ暗だった…もぉ寝たか?朝も仕込みしなきゃいけないからな!俺はまた目を閉じたが、すぐに三ちゃんに起こされた。
「明日…よぉくネンネしてくださいよ。貴重な休みですからね!結婚式の準備もあるでしょうが、体も大事だよ。MASATO」
「うん。おやすみぃ!あ、俺…作家業の仕事もあるから、次のスケジュール決まったらラインくれる?」
三ちゃんは手を挙げて、車を発進させた。了解だな!
俺はあくびをしながら、玄関のドアを開けた。うん…リビングでライトついてる?あ、俺…消し忘れた。リビングのドアが開いた!
「マサ君!お帰りなさい」うわぁ…美裕だった。俺の目は一度に覚めた!
「えぇ…美裕どうしたんだ?明日もカフェだろう?仕込みは?」俺は次々に質問した。
美裕はキッチンに入って、電気ケトルをONにした。
「明日ぁ…カフェの休業日だよ。マサ君!日付感覚ある?カフェのお休みはいつだったかな?」
俺はキッチンカウンターの卓上カレンダーを見た。あ、カフェの休みは赤丸入れてるわ。美裕のカフェは週2回休みがある。仕込み日と美裕の休日だ。水曜日が仕込み日で日曜日が休み!都心ならこうもいかないが、ここは言っちゃ悪いけど…ちょっと不便な小さい街だから。これでいけるそうだ!千尋さんも週2回は休みが欲しいんだって。家の事もあるし…また俺らの結婚式後に、雄介義兄さんが早期退職制度で会社を退職するらしい。で、家に1人でいてもな!千尋さん1日中こっちのカフェにいるし、無給でいいからカフェを手伝わせてくれって言ったらしい。美裕は喜んだが、無給と言うわけにはいかないって言ったんだけど。ま、雄介義兄さんがカフェにいたら、男手もあるから俺としては安心かな。
美裕はいつもなら、水曜日の午前に仕込みをするんだけど…前日の夜に仕込む事もあるそうだ。体も楽だと言ってる (*^^*)
「木曜日に出すスィーツの仕込みもうしちゃったの!だから明日は執筆と結婚式準備しようかと思って。昼まで寝ようよ!」
「うん。こんな時間に来るって事は泊まれるの?美裕」
「うん。そのつもりで来たぁ!マサ君…おなか空いてない?炊飯器で炊いたピラフあるよ」
俺はまた声で返事をするより、腹で返事をして美裕がかがみこんで笑った。それぐらいウケたみたいよ!俺の腹の虫の音!
俺は美裕が作った炊飯器で炊いたピラフを2杯もお代わりし、コンソメスープも2杯お代わりした。冷蔵庫の中にさっき見たぞ。ベリータイム・ミヒロのケーキの箱!あれも食うぞ…
俺は美裕が作ったオレンジのババロアとマカロンを食べた。横の美裕は…俺の食欲に呆れたのか、苦笑いしていた。
「大丈夫…俺はこの数年体重の変動ないし!今日も忙しゅうてカロリーめちゃ消費してるから」
「そ、そう(笑)でももうやめとこうね。その手に持ってるマカロンで最後よぉ!後はお風呂入って寝ましょう。もう夜中の2時ですから」
「あぃ!」俺は手に持っているマカロンを口に入れた。
美裕はベッドの中で手をワナワナさせた。
「もぉ…そんな怒らないでぇ。食欲が満たされたら次に性欲って…デェ!」また俺はベッドの中で美裕にお尻を叩かれた。
もうご想像がつくでしょ?またマカロン食べて風呂入った後に美裕を襲いました(笑)だってよ…俺らまだ楽しい婚約期間中!後3週間で結婚式だし、俺だって仕事の疲れを癒したいんだ。
「もぉ…仕事で疲れてるのちゃうの?歌手業に作家業にその他仕事で」美裕は俺のオデコを指で突っついた。
「疲れてるよぉ…でもこれは別物!美裕だって最初の内だけだ。抵抗すんの!後はさ…ムフッ…ご、ごめん!もう殴らんといて」
俺は美裕の両手を自分の手でブロックした。後で耳引っ張られたけどな。
作品名:遅くない、スタートライン第2部 第5話 8//27更新 作家名:楓 美風