赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 31~35話
こんな風に煽ることもある。
『♪ 街のあかりがとても綺麗ね◯◯、◯◯(料亭の名前)。
お酒はいっきでのみましょう。それ、いっき、いっき・いき・・・・
はい。いっき。おみごと、男だね!、(もしくは女の子、女だね)
ちゃちゃふーちゃちゃふー』
かけ声をかけながら、お酒の一気飲みをすすめる。
テレビでよく見るどこかの大学のコンパと、まったくおなじ光景だ。
とにかく飲むところでは、相当量を徹底的に飲ませる。
それも情け容赦なく、これでもかとばかり飲ませる。
ときにはお料理のふたで飲ませることもある。
三味線にあわせて、民謡を歌う場合もある。
もちろん。普通に歌うわけではない。
『ちゃっきり節』の、『ちゃ』をぬく。
『ノーエ節』の、『ノー』だけを抜く。あるいは『エー』を唄わない。
などなど。あらゆる変化が用意されている。
たまには本当に、昔風の粋なお人も登場する。
芸妓の弾く三味線に乗せて、小唄か、長唄を一節、それとなく披露する客もいる。
即興で都々逸をつくるという、飛び抜けた客も存在する。
このレベルになると、もう、お座敷遊びにおける達人だ。
ただし。お座敷ゲームの定番と言われている、『野球けん』などの
下卑たお遊びは、由緒正しいお座敷では、絶対に行われない。
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 31~35話 作家名:落合順平