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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 31~35話

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 すぐ本番がやってくる。
小春が三味線にあわせ、『涼しくなったから、ちょっと出てきてごらん』
とあでやかに歌う。
唄にあわせ、お客さまが『おいで、おいで』と手招きをする。すると芸者が
そばへやって来る。
お客さまが芸者の肩に手をかける。そのまま、抱き寄せる。
顔を団扇で隠しながら、さらに接近していく。

 『釣りぼんぼりの灯も消えて・・・』と唄がすすむ。
見ている者には、本当に2人が接吻をしているように見える。
そこで芸者が、パラリと団扇を落とす。


 もっと色っぽい遊びがある。「蒸気ゃ波の上」というゲームがある。
三味線にあわせて、蒸気ゃ、波の上 汽車、鉄の上。雷さまは雲の上。 
浦島太郎は、ありゃ、亀の上・・・
と唄いながら、お客様と芸者がジャンケンを繰り返すという、単純な遊びだ。
お客さんが負けると亀の格好になってもらい、四つん這いになる。
背中の上に芸者が横坐りになって腰かけ、浦島太郎の気分にひたる。
お客さまは、芸者のお尻のぬくもりを堪能することになる。

 芸者が負けると、『わたしとあなたは床の上』という歌が飛び出してくる。
芸者が仰向けに寝る。お客さまはここぞとばかり、芸者の上に体を重ねる。
クイクイと、得意満面に腰を元気にふる。
お座敷ゲームには、いずれの場合も、罰盃というものが付きまとう。
『負けた方がお酒を飲む』。これがお座敷での鉄板ルール。


 『おっ、ようやく盛りがってきたぞ。お座敷が!』

 ぴったりと閉ざされていたかごの蓋が、いつの間にか、開きはじめる。
たまのランランと輝く大きな目が、そっと、かごの隙間からふたたび現れる。


(33)へ、つづく