赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 31~35話
赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (35)
たまの綱渡り
「さぁて。すべての準備が整いました。
それではそろそろ、覚悟を決めて、綱渡りとまいりましょうか、
うふふ。たま」
清子がニコニコ笑いながら、たまの首筋をなでている。
『冗談じゃないぜ、まったく。人ごとだと思って、呑気だな清子は・・・』
目の前でふわふわと揺れている、綱渡りの細い紐を見つめながら、
たまが額から一筋、脂汗を流している。
「ちょっと待て。その猫に、もうすこし細工しょうじゃないか。
その格好ではまだ、なんとも地味すぎる。
見た目がもっと、パッと映えるような小道具はないか。
探せ、さがせ。そのあたりに、何かあるだろう」
庄助旦那の再度の提案に、一同がドッとどよめく。
女たちが、室内に置いてある道具や人形を片っ端から物色していく。
棚に、勇ましい武者人形が飾ってある。
熊にまたがった金太郎が、床の間に置いてある。
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 31~35話 作家名:落合順平