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遅くない、スタートライン 第2部 第4話 8/18更新

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(4)

千尋さんが言ったとおりだ。千尋さんは美裕の事を俺に話してくれた事があった。挨拶に行ってから、しばらくして千尋さんと駅前のスーパーで逢ったんだ。俺もスーパーで買い物してて、お互いに結構な荷物だった。

「自炊派なんだってね!すごぉい…あ、よかったらお茶でも飲まない?私ノド渇いちゃった」と千尋さんが言った。俺ものども渇いてて、小腹も空いてた。スーパーの奥の喫茶店で俺と千尋さんはケーキセットを食べた。

「ね…マサ君って呼んでいい?私も」
俺はケーキを口に入れたところだったので、頭を軽く上下した。それを見て千尋さんが笑った…笑ったらやはり、美裕と似ている。

「ご挨拶に来て頂いてありがとうございました。また私の一番心配な種の妹をもらって下さってありがとうございました」
千尋さんは俺に頭を下げた。
「あ、頭上げてください。千尋さん」俺はちょっと慌ててしまった。

「うん。あぁ…あの子言ったの?前の結婚生活の事?」千尋さんはコーヒーカップに口をつけた。
「はい、後出しするのは嫌だからって。亡くなったご主人の事…赤ちゃんの事も聞きました。話してくれて良かったと思っています。俺も正直に言いましたからね」
「そう…前の結婚の時はね!美裕…パティシエの仕事と人間関係に疲れてて、オーナーとセカンドパティシとの板挟みになっちゃって。精神的にちょっと不安定だったの。私と健太郎は心配したのよ…あの子小さい時からギリギリまで我慢してね!我慢しすぎてコントロール不能になるの。だからいつも…そうなる前に言いなさい!って私は言ったの。そんな時にあきら先生と再会してね!私達に言ったら反対されると思ったのか、入籍してから電話で報告したのよ。それってどうよ?」

「ダメっすね。そんな大事な事を…あ、でも俺も人の事言えないわ。俺も似たようなもんですから」
「若い時は突っ走ることもありだから、でも今が大事なんじゃない?あなたと美裕を見てたらそう思った。美裕…あなたと出逢ってから明るくなった。笑う事もできるようになって、毎日楽しいって!忙しいけど…マサ君もいるしお姉ちゃん達もいる。1人で何でもできると思ってたけど、それは間違いだったねって。笑って私に言ったわ…そういう風に美裕を変えてくれたのが、私はマサ君だと思っています。わがままで甘ったれで超泣き虫のみぃちゃんですが、末永くよろしくお願いします」また千尋さんは俺に頭を下げた。

「イエ…俺も美裕に逢ってから前に向けたんです。それまで…心は荒んでた。俺も自分の事しか考えられない人間だったんで。これからは2人で成長しながら歩いていきますよ。千尋さんこそ…いえ千尋義姉さんこそ俺達を躾けてくださいね」
千尋さんは目尻を軽く指で押さえながら、うなづいた。

美裕は俺が手を握った事で涙も止まったみたいだ。軽く目を押えてから、俺にハンカチを返した。
「じゃ…次に行こう!」俺達はスタッフに礼を言って、ジュエリーショップを出た。

「どこ行くの?今度は」美裕は俺の顔を見た。
「いいから!いいから」俺は美裕の手をつないで歩き出した。

私は鏡に写る自分の姿に赤くなった。またスタッフが私に…
「よくお似合いですよ。MASATOさん!できましたよ」とフィッテイングルームから声を出した。
MASATOさんこそ、マサ君はカーテンの前に来たようだ。スタッフはカーテンを開けた…

「おぉ…やっぱり大正解!美裕綺麗だ!」と声を上げた。スタッフもうなづいた…
「ま…マサ君、これって」私が試着しているのは…なんとウェディングドレスだった。
「ウェディングドレスだぞ!美裕のイメージにピッタリだ。ね!これ着てさ式挙げよう!身内と親しい友達でパーティもしよう」
「え、えぇ…」私は驚くばかりだ。

連れてこられたドレスショップの横に、ブライダルサロンもあった。マサ君は私が着替えてる間にスタッフと楽しそうに話していた。
「ったく…おめぇはいつもイキナリだな」どうやら…ブライダルサロンのスタッフはマサ君のダチみたいです。
「うん。あの人は前置きしたら首振る人だから。モノ見せて納得させる。あ、俺もマジ結婚式もしたいし、パーティもしたいんだ」
「わぁってるよぉん。マサ君!俺っちに任せときぃな。あ、美裕さんこっちです」とダチスタッフさんは私に手を振った。

私はイキナリの展開だけど、改めて嬉しさがこみ上げてきた。お調子者のマサ君ならではの展開で、ストレートすぎて顔を赤くする事もあるけどね。またダチコネが多いこと!感心しました…
「ホント…今日1日で決めてくれて。私はうなづくだけで精一杯でした」

美裕はベッドの中で俺のオシリを軽く叩いた。あ、失礼!すんません…レストランでバースディパーティして、そのホテルの最上階に部屋を取ったのは俺です。(笑)美裕に睨まれたけど!

「ッダ…じゃないとさ!俺も美裕もこれから忙しいでしょ。あ、ごめん。俺ら週刊誌に撮られたわ。この前のリゾートホテルで」
「えぇ…うっそぉ!」
「うん。手つなぎホテルから出てきたとこ!あと、プールで抱きついてるとこ」
「いやぁ!!どーすんの?マサ君」赤くなった美裕だ。
「どーすんの?って。エエやないか…彼女ちゃうでしょ?君!俺のフィアンセでしょうが。堂々としときぃ!」
「あ…まさかぁ!今日のは…」
「うん。事実固めってやった!ま、その事がなくても美裕のバースディには決行するつもりだったけど」
「もぉ…アンタは何でそーなん?」赤くなりながら、手をワナワナさせた美裕だが。

「ま、そーいうところも大好きです」俺の頬に軽くキスしてくれた美裕だ。
「退屈せんでしょ?俺とおったら」
「うん。じゃ…ずっと笑わせてくれる?美裕の事」
「もちろんや!あ、明日…千尋さんと健太郎さんに報告しよう」
「はい。誕生日にエンゲージリング頂いて、ウェディングドレス決めて、カフェの中庭でパーティだね」
「うん。俺らが出逢った初夏にな!それまで婚約期間楽しもぉ」
俺は美裕の頬にキスした。また美裕も…
「あぃ!MASATOさん」嬉しそうに笑った。