小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

遅くない、スタートライン 第2部 第4話 8/18更新

INDEX|4ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

(2)
スタッフは美裕のスィーツの差し入れに喜んだ。あ、今日の新メニューのフルーツロールケーキだ。俺もまた食べた。中のイチゴが美味いんだ!
「美味しいぃ!これもカフェのメニューに入ってるの?」テレビ局のディレクターは美裕に聞いた。
「はい、一応オープンに向けて5種類出して、ショーケースでもテイクアウト用に販売しようかと思ってるんですが。1人で製作するからどれだけ作れるかが問題でして」そうだよな、美裕が1人で作るんだ。スィーツばかり作ってらんないよ。ドリンクもあるし!

「最初は何でもトライだね。ダメなら路線変えればいいさ」とテレビ局のディレクターは言った。それも一理あるな。
「ですかね?あ、これ良かったら使ってください。試作で作ったものですけど、ディスプレイに」
美裕はテレビ局のディレクターに紙袋を渡した。俺も紙袋を覗き込んだ…

「おぉ!かわいい!!これメレンゲで作ったくまさん?」女子スタッフが叫んだ(笑)
「うん。粉砂糖と食紅とか使って…ショーケースの上に飾ったらかわいいかな?って昨日空き時間に作ったの」
美裕も説明しながら、スタッフの歓喜の声に嬉しそうだった。横のテレビ局のディレクターはまた俺を見て笑った。

「忙しいみたいだね!デートする時間もないじゃん。MASATO先生」
「ですよぉん。今日も美裕さんのお姉さんから連れ出すように言われて、今からヘアサロンとエステに連れて行かなきゃ!俺だってその合間に仕事ですよ」とぼやいたら…

「元バンド仲間が探してたぞ!さっき来てさ。MASATO先生来たら捕獲しておいてくださいって」
「えぇ…誰や?卓か…ユウキか?」
「元バンド仲間全員」のディレクター声にスタッフが笑いだした。

俺は美裕を知り合いのヘアサロンとエステが一緒になっているショップに預けた(*^^*)終わる頃にスタッフが俺に連絡をしてくれると言った。どうせ、美裕は爆睡さ。俺はまたその足で元所属音楽事務所に行った。俺が到着したら、バンド仲間に両腕を掴まれ地下のスタジオに連行された。
「な、何やねん」俺が言うと…
「ドラマの主題歌にいいのがあるねん。聞いてくれぇ」
「ぜひぜひ!」元バンド仲間達は俺の腕をまた引っ張った。

俺は考えもしなかった。自分は作品を書くだけでいいと思ってた。いや…他の仕事もあると思ってるよ!でもまさかなぁ…俺は自分の指を折ってカウントしていた。元バンド仲間達が作った曲はいい曲だと思った。だから正直に感想を言ったら…
「MASATOが歌ったらもっといい曲になる」とマジ顔で元バンド仲間達に詰め寄られた。でもな…俺、今仕事目一杯抱えてるしな。俺は美裕じゃないけど黙考の時間に入ってしまった。

車の窓を叩く音で現実の世界に帰ってきた俺だ。叩いたのは美裕だ…
「おぉ…見違えました(*^^*)生き返ったか?美裕」
エステから出てきた美裕は、お肌ツルツルで髪もカラーリングとカットをしていた。
「うん。エステで爆寝したぁ。ヘアサロンも!おかげで生き返った」
「そっかぁ!綺麗綺麗!あ、先にメシ食べよう。買い物に時間かかるだろう」
「うん。どしたの…さっき考え事してた?マサ君」あ、見てたんだな。
「うん。後で話聞いてくれるか?」俺は美裕に相談しようと思った。

メシも食って買い物もして、俺は新居に帰ってきた。美裕は先に家に送った!カフェのオープン前だ。少しでも体を休めなきゃな!美裕には飯を食ってる時に相談した。

「すごぉい…元バンド仲間達が今回のドラマの為に作ってくれたんでしょ?」
「うん。でもな…俺的には主題歌はディレクターに任せようと思ったんだ。ほら、散々わがまま聞いてもらってるしさ」
「あぁ、でもそれはそれじゃない。MASATO先生が提案した事でいいドラマになりそうだとディレクター言ってたよ。まだ主題歌決まってないんでしょ?それなら言ってみたら?MASATOが唄うんだよ。大ブレイク中に引退しちゃって、またMASATOの歌が聴きたいと思ってるファンもいるって。私も実はファンでした」
「えぇ…マジで!美裕そんな言わんかったやんか!」俺は驚いた。
「ライブに行きたかった!生でMASATO見たかった!パティシエ時代は時間なくて…CDとビデオでMASATO見て楽しんでたよ。BLUESKYも大好き!ショットも」
「あ、ありがとうございます。美裕さん」俺は美裕の手を握った。
「いいと思うよ。ボイストレーニングすればいいやん。元バンド仲間達にかないませんけど、美裕で良ければカフェのピアノでボイスレッスンできるよ。個室もあるし」俺の手の上から、美裕の手が重なって…
「大丈夫よ!MASATO」俺の頬に軽くキスしてくれた美裕だ。