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遅くない、スタートライン 第2部 第3話 8/13更新

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(5)

私は隣の寝室でちょっと横にならせてもらった。栄養ドリンクを飲んでからだ…この数日は睡眠不足だ。作品の仕上げに全力注いだって感じ!何回も自分の書いた作品を読み返し、デスクの前で唸っちゃった。MASATO先生これ見たらなんて言うんだろう?また書き直しかな?とか…胸中不安で渦巻いていた。マンションに来て原稿を手渡してから、MASATO先生は一言もしゃべらず…私の作品を読んでたし。途中で書き直しって言われたらどーようとも思った。沈黙ほど怖いものはないと思った。MASATO先生の「お疲れさんでした」の言葉が耳に聞こえた時、嬉しかったけど脱力感を覚えた私だった。ピロに頭をつけて目を閉じたら、もうそこから吸い込まれるように眠ったようだ。私…


どれぐらい寝たのかな?1時間ぐらいかな?私はベッドサイドの時計を見ようとしたのだが。動けなかった…それに何だかベッドの中暖かい。目を開けたら…MASATO先生ことマサ君が横に寝ていて、自分の腕を私の肩に乗せていた。
「あらら…マサ君も睡眠不足?」私の声に、マサ君の目が開いた。
「ごめん…起こしちゃった?」私の手はマサ君の頭をなでた。その手をマサ君が掴んだ。
「いい。俺もここ数日寝てないからな。美裕とちょっと一緒に寝ようと思って、潜り込みました」
「執筆できたんですか?寝るということは…」
「前編は書けた。今中編の下書きかな?でもちょっと休憩や!美裕はカフェスクールの卒業製作できたんか?」
「うん。それは何とか…カフェスクールは当日作って後提出だけ。来週から工事やから…今最終お片付けしてる」
マサ君の腕は今度は、ベッドの中で私を軽く抱きしめた。

「そうか…な。もうちょっと寝てメシに行こう。俺もうちょっとこうしていたい」
「うん。いいよぉ…もうちょっと寝よう。私もこのままでいたい」
私達はお互いの体を軽く抱きしめて、眠りについた。起きたら…どっぷり日が暮れていたのにはビックリした。

「今…何時ぃ?」半分目を閉じたまま…美裕は俺の腕を触った。俺は目を凝らしてベッドサイドの時計を見た。
「ッゲ…20時や!俺ら5時間ぐらい寝てた?」美裕の目が見開いた。
「うっそぉ…私帰るわ。明日昼から業者さん最終打ち合わせにくるし」美裕はベッドから起き上がった。
「あ、送っていくわ。ついでにメシも食おう」マサ君はベッドから起き上がった。

あかん…まだ睡眠足りてないか?俺…
美裕を車で送ったら、車の中で「頂き物」の牛肉があると言って、俺と美裕の頭の中は「すき焼き」がイメージされ、途中のスーパーで野菜と卵を購入し美裕の家に向かった。美裕が調理している間に、俺は明日の工事の打ち合わせ計画票を見ていた。この個室カフェがオープンしたら俺も使ってみたいなと思った。内装も落ち着いた雰囲気で、シンプルなデスクにチェアーはリクライニングができるものだ。2時間で出ていけるかな?居心地よすぎて延長なるか?

「ね…マサ君!すき焼きのシメはおうどん、それとも卵入れてごはん入れる?」キッチンの中から美裕の声がした。
「あぁ…俺両方!」
「言うと思った!できたよぉ」その声に俺はキッチンに行った。

頂き物の牛肉はアンタ…神戸牛でグレードの高いもんだった。
「超美味かった!ごちそうさん…どうしたん?これ」
「あ、加奈ちゃんの上司メインパテシィエ様から頂きました。この前のお礼って!また来てねって」
「ま、また来てねって?」俺は驚いた。
「冗談だと思う。メインパテシィエ様もカフェのオープン見に来てくれるって。加奈ちゃんと」
「そうかぁ。おどかすなや!牛肉が逆流したらもったいないわ」その声に美裕は笑った。

あ…今度は食欲が満たされたらまた眠気だ。美裕はそんな俺を見て…
「良かったら泊まっていく?美裕のベッドはシングルだけど、和室でお布団引けるよ。長身のマサ君でも大丈夫なシングルロングだよ」
「え、エエのぉ?」俺はちょっと驚いた。
「うん。もう眠たいでしょ…そんなんで車運転したらあかん。明日の朝ごはん食べて帰れば?急ぎの仕事がなければ」
急ぎの仕事なんてないぃ!俺は美裕のご好意に甘えた。でも…
「俺ヒトリで寝るん?」と美裕の手を握った俺だ。
「んもぉ…一緒に寝ようってか?」俺は頭を上下して答えた。