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遅くない、スタートライン 第2部 第3話 8/13更新

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年が明けて、今のマンションの荷物整理をして、必要な物だけ新居に持ち込んだ。マンションの後の荷物は処分した。新居用に家具や家電を買い揃え、今まで使ってた物は、リサイクルショップやダチや後輩作家にやった。ホント…物増やしたつもりはないが3年の間に増えてたな。新居用のインテリアもインテリアデザイナーのダチとオフィスの一級建築士さんに頼んだ。問屋さんっていうのか?デザインも良くお安くしてもらったよ。明日は新居に家具の搬入をして、数日後には俺は本執筆に入る。美裕は今…俺のマンションの書斎で、簡易デスクで作品の修正をしている。美裕の文章もいいけど、プロ作家としてアドバイスと指導をして、美裕の作品を完成させなきゃ。それが済まなきゃ…気がかりで執筆が進まんぜ。

「MASATO先生!これでどうですか?」
美裕は原稿用紙に赤ペンで修正した部分を、考えて文章を書き加えた。俺はそれを見て…
「さっきより良くなってるけど、限られた文字数の中で書かなきゃいけないだろう。ホントに伝えたい事と書けてる?」
俺の言葉に、美裕は目を見開いた。
「言葉には色んな言い回しがある。辞典で調べてみなさい」と原稿を突き返した俺だ。フィアンセと言えど今は甘くしませんよ。美裕は「はい」と返事して後ろの書棚の辞典を取りに行った。俺はネット検索で言葉を調べるのもいいけど、ネットでも間違ったコト書いてる時ある!自分の仕事には自分で辞典や資料で調べて書くんだ。美裕にもそうであってほしいと思っている。


MASATO先生は的をついた質問をしてくる。ホント…さっきの質問は私の胸に突き刺さった。書いてる途中でMASATO先生が言ったことを私も思っていて、でも書いたのだ。見透かされちゃった…さすがプロの作家先生です。私は辞書を引いて調べた。ホントだ…こんな言い方もあるんだ!私は自分で納得して原稿を修正した。この時に修正したものは合格点をくれた。

私はMASATO先生が執筆に入ったのを見届けて、書斎の部屋をそっと閉めて玄関もそっと閉めてロックも静かにした。カギはもらったので、これからは自由に出入りしてもいいと言われたが、執筆中とわかったら音を立ててはいけないと思った。私は原稿用紙の入ったバックを持って、マンションを出た。一旦家に帰らなければ。来週からカフェの工事に入るので、もう一度家の中を点検しなければ!

俺はふと時計を見た。美裕が帰ってからあぁ…もう2時間経ってる!俺は集中して書くからな。美裕は気を遣って音を立てずに帰ったな。俺はUSBメモリーに書いた下書き原稿を保存して、スマホを手に取った。副校長に美裕の作品の進行具合を報告しなければ。

「思ったより苦戦してますよ。書くことがこんなに難しいと思わなかった!って顔アリアリで。でも、アドバイスしたら的確に直してきますね。うんうん、もう後ちょっとかな?今度来た時に全原稿をチェックします」
「美裕さんが苦戦してるなら、他の2人も同じさ。誰がこの苦戦状態から先に抜け出すかな?」
副校長は何だか楽しんでるぞ?

俺はまたパソコンのキーボードに手を置いて執筆を再開した。俺はリズムがある内に書いておきたいタイプだ。今日は書けるところまで書いておこう。


私とMASATO先生はそんな感じで1月の終わりまで、コンクールに出す作品に取り組んでいた。またMASATO先生は、合間にマンションのお片付けに新居に足を運んでいた。私もお手伝いには行きたかったが、できなかった。コンクールの応募作品にカフェスクールの卒業製作にカフェオープンの準備だ。もう一つ体が欲しいと思っていた。そんな忙しい中で、加奈ちゃんと会った。いい気分転換になった…お土産もたくさんもらったし、MASATO先生にももらった。

「MASATO先生は、本執筆に入ったんだ。撮影は5月からでしょ?美裕…カフェのオープン4月からだよね?いつ結婚式するの?」
「あ…まだ考えれないわ。お互い仕事あるし」
「そうだよね。決まったら絶対教えてよ」と言い…加奈ちゃんは私の手を握った。それから1週間後に、美裕の作品が完成した。俺が読んだ後は養成スクールのパソコンに送信した。俺だけではなく、学校長達に講師陣達も作品のチェックをする事になっていた。美裕は俺の横で緊張した面持ちでカタまっていた。

「お疲れさんでした。今…養成スクールに送信終わりました。また返信が来たら連絡するよ!目の下クマできてるぞ。美裕」
美裕は俺に言われて、目の下を指で触った。クマもできてるのわかんなかった?メイクしてもうっすら…見えてるんだ。それって結構目のクマが濃いってこと!俺はデスクの引き出しから栄養ドリンク1本出した。美裕は何でデスクから栄養ドリンクが出てくるんだ?って顔をしたな。

「冷えてなくいいんだ。冷蔵庫行く時間が惜しいのもある。ほら飲んで!俺も後1時間ぐらいで終わるから、今日は待ってろよ。メシ食いに行こう」
俺は美裕に栄養ドリンクを持たせて、寝室を指さした。美裕は俺に頭を下げて部屋を出て行った。