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ねとげ~たいむ・エキスパート!!

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 2メートルはある大きな巨漢で、散切り頭の黒い髪に赤黒い2本の角が生えたヘッド・ギアを装着し、同色の鎧と垂と篭手と具足、背中に巨大な両刃剣を背負った戦士のアバターだった。
 エミルとサリアさんは目を吊り上げながらアバターに言った。
「はぁ? 何ですの貴方はっ?」
「そ〜だ! そ〜だ! アンタには関係ないでしょう!」
「そうも行かねぇよ、お前らがどいてくれねぇと、俺達がクエスト受けられねぇ……、って、お前はっ!?」
 男は私を見ると目を丸くして驚いた。
「えっ? 私?」
「お、お前……、まさかあの時のッ!!」
「あの時???」
 私は首をかしげた。
 するとエミルが尋ねてきた。
「コロナ、知り合い?」
「いや、全く……」
「とぼけんな、半年前の緊急クエスト、まさか忘れたとは言わせねぇぞ!」
「半年前……、あっ!」
 私は思い出した。
 半年前、私が始めてこのオンライン・キングダムをプレイした時に休憩所で嫌がらせをして来たアバターだった。
 確かに初プレイでやり方が分からずに私の方が迷惑をかけたのが悪いのだけど、その時現れたレミに脅されたのだった。
 すると男は語った。
「あの現場にいた誰かが管理局にチクってオレのアカウントを凍結しやがった。おかげでまた1からアバター作ってやり直しになったんだぞ!」
「はぁ? 何言ってんのよ、コロナ関係ないじゃん!」
「そうですわ! 大体ランク1じゃ初プレイと大して変わらないじゃないですの!」
「うるせぇ!」
 男は一喝して黙らせた。
 そして鼻息を荒くしながら言って来た。
「とにかく、ここで会ったが100年目だ。積年の恨み、晴らしてやるぜ」
 男は言った。
 するとその時、男の後ろから3人の男のアバター達が現れて私達の間に入ってきた。
「おいおい、ショー君、一体どうしたって言うんだ?」
 1人は猫背で右目に傷の入ったリーゼント頭に首から下は黒い逆さ十字の修道僧のような服を着て右肩に円柱の先端部分に棘が生えた金棒をかけた僧侶風の男。
 1人は1番背が高くひょろ長い、緑のモヒカン頭に着込んでいるシャツの両肩に鉄製のショルダーを着け、下半身には皮製のズボンと膝から下はグレーのブーツを、棘付きのリストバンドが巻かれた腕の先の手に握られたダガーを舐めている盗賊風の男。
 最後の1人は逆立った赤い髪に大きく開いた額には髑髏に矢が突き刺さった様な刺青が施され、鋭い棘が生えたショルダーの胸当てと両腕に3本の長い鉤爪を装着したジーンズに鉄の具足の武闘家の男だった。
 どいつもこいつもガラの悪い連中だ。
(どこの世紀末だ?)
 お父さんに見せてもらった某漫画の『ヒャッハァァーー!』って叫ぶ雑魚キャラそっくりだった。
 別にどんなアバターを造ろうと文句は言わないけど、何もこんな悪人面にする必要ないのに……、
 私は目を細めながら思った。
「あん? 誰だこいつら?」
「もしかしてオレ等と遊びてぇのか?」
「お嬢ちゃん達みてぇな可愛い子なら大歓迎だぜぇ」
 セリフも悪役だった。類は友を呼ぶって奴だな。
 すると戦士の男が仲間達に私の事を説明したんだろう、連中は眉間に皺を寄せながら私に向かって言って来た。
「なるほどなぁ、そいつぁ悪い女だなぁ」
「こいつぁお仕置きが必要だぁ」
「たっぷり可愛がってやるぜぇ」
 そう言うと男達は一歩前に出た。
 私に仕返し(逆恨み)しようって言うんだろう、何をされるかは分からないけど別にどうって事は無い、リアルとバーチャルじゃまるで違うからだ。
 痛めつけられる訳でも如何わしい事をされる訳でもない、もし殴られたとしても後で管理局に言えば良いだけだ。
 するとそんな事を考えているとエミルとサリアさんが私の前に立ち塞がった。
「止めなさいよ! コロナには手出しさせないわよ!」
「お姉様に手を出そうってんならただじゃおきませんわ!」
「2人供、落ち着いて!」
 私が周囲を見回すと他のアバターもこちらを見ていた。
 この2人は頭に血が上ると周りが見えなくなるからなぁ……
 ここで騒ぎを起こすと私どころか2人まで退会させられる……、それだけは何とか避けなきゃいけない。
 何とか2人を止めなきゃ行けない……、そう思った時だった。
「待ちな!」
 すると1人の女の子のアバターが入り口の側に立って言って来た。
 彼女はゆっくりこちらに歩いてくると私達の間に割って入って相手パーティをにらみつけた。
 そのアバターはお姉ちゃんパーティの1人、ルキノさんだった。
「全く、女相手に大の男がみっともねぇな」
「ルキノさん」
「あん? 何だテメェは? 関係ねぇ奴はぁ向こう行ってな!」
「そうもいかねぇよ、妹ちゃんは私の妹分で大事なサークル仲間だ!」
「はぁああっ?」
 いつ私がサークル仲間になった?
 私はルキノさんを見て眉間に皺を寄せて思った。
 何度も言うけど私は腐の道に向かう気配は一向に無い……、何度言われても断るつもりだ。
 って言うかこの人も私を妹にするつもりなのか?
「ちょっとちょっと! サークルだかなんだかしらないけど、コロナは私の仲間なんだからぁ!」
「いいえ、お姉様は私のお姉様ですわ! 誰にも渡しませんわよ〜っ!」
 余計に話がややこしくなった。
 収集の着かない私達に相手パーティは呆れているんだろう、空いた口が塞がらずに目を細めていた。
 すると戦士の男が咳払いしながら行って来た。
「ま、まぁ……、話して分からねぇならしかたねぇ、なら力ずくで教えるしかねぇな」
「ハッ! 上等だわ! アンタ達みんなぶっ飛ばしてやるんだから!」
「おいおい、誰がケンカするっつったよ、頭どうかしてんのか?」
「むきぃぃーーーーっ!」
「エミル! 落ち着いてぇぇ〜〜〜っ!」
 頭から煙を吹いて飛び掛ろうとするエミルを私は羽交い絞めにして止めた。