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ねとげ~たいむ・エキスパート!!

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 その夜、私はオンライン・キングダムにアクセスした。
 私はクエスト集会場にやって来くるとエミルを待った。今日はレミとセンリはアルバイトが入ってお休み、エミルと2人きりでクエストとなった。
 案の定エミルは遅刻だった。集会場にやって来たのは10分も過ぎていた。
「コロナ〜〜っ!」
 エミルが手を振ってやってきた。
「エミル、毎度の事だけど遅刻だよ」
「え〜、アタシが遅刻するなんていつもの事じゃん、今更細かい事言わないでよ」
「そう言う問題じゃ……」
「ホラホラ、さっさと行こうよ、時間が勿体無い」
 もう少し早くすれば時間を有意義に使えるってのに……
 そんな事を考えながら私達は会場へ入った。

 クエスト集会所は今日も賑わっていた。
 多くのユーザー達が部屋の中で話をしていた。
「よ〜し、今日も敵をぶっ飛ばすぞ〜っ!」
 エミルは大張り切りだった。
 何しろエミルは新しい敵を見つけてはぶっ倒すのが楽しみみたいな子だからだ。
 勿論悪い事じゃ無い、エミルがいればクリアもしやすい……、ただ私としてはもう少し時間をかけて楽しみたかった。それだけが本音だった。
 楽しみ方は人それぞれなんだし、別に口出しする必要は無いと思ったその時だ。私の背後から聞きなれた声が聞こえた。
「お姉様!」
 私の背筋に悪寒が走る。
 振り返るとそこには1人の女の子が仁王立ちしていた。
 オレンジ色のウェーブを左右に分けてうなじで縛って肩からかけ、首には金のチョーカー、上半身は右肩に白いバラを付けた胸部部分だけの薄い桃色のキトン(古代ギリシャの服装)、下は黄金のベルトと一体化した長いスリッドにボーンサンダル姿をしていた。
 彼女の名はサリアさん、ショコラさんやホイップ君と並ぶ私達の友達のユーザーだった。
 彼女は俗に言う所の百合キャラで、私とお姉ちゃんとレミを『お姉様』と呼んでいる。
「お姉さま〜、合いたかったですわ〜っ!」
「ちょ、ちょっとサリアさん!」
 いきなり抱きついてきたサリアさんを私は引き剥がそうとする、毎度の事ながら過剰なスキンシップだ。
 一応言っておくけど私にはそっち属性は無い、勿論そっちの道に行く気も微塵も無かった。
 するとサリアさんが言って来た。
「お姉さま〜、やっぱり私達は運命の赤い意図で結ばれていますわ〜、さぁ、私と一緒に愛のクエストに行きましょう〜」
「ちょっと! 何勝手な事言ってんのよ! コロナはアタシと行くんだから!」
 エミルは右手の人差し指をビシッとサリアさんに向けながら言って来た。
 すると今まで私に頬擦りしていたサリアさんはグリンッと首を捻ると目を細めて眉間に皺を寄せるとエミルを睨み付けながら言い捨てた。
「あ〜ら、いたんですの? 小娘はとっとと1人でクエストに言ったらどうなんですの?」
「はぁ? 何言ってんのよ? アンタこそどっか行きなさいよ!」
「ちょ、ちょっと2人供落ち着いて!」
 私は2人を宥めた。
 でも2人は私を他所に目を吊り上げながら互いをにらみつけた。
 基本的にサリアさんも人の話を聞きやしないからなぁ……、止められるのはレミ位みたいなもんだ。
 私にもレミ位……、いや、せめて尾上さん位強く言えればと思った。
 そんな事を考えている時だった。
「おいおい、その辺にしておきな」
 突然私達にある男性アバターが言って来た。