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ねとげ~たいむ・エキスパート!!

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 この攻撃が決まれば私達の勝ちだった。
 でも現実はそうも行かなかった。
 ジャイアント・スパイダーは全ての足を曲げると宙高くに飛び上がると私達の頭上を越え、体制を直しながら背後に降りた。
 すると5つの瞳がさらに不気味に輝いた。
『ギシャアァァ―――ッ!』
 ジャイアント・スパイダーが身を丸くすると背中に亀裂が生じ、それがさらに広がるとボロボロと崩れ落ちるとその下からヌルヌルして糸を引いた白く透き通った新たな体が現れた。
 しかもそれだけじゃ無い、私が切断した足も新たに生えて、やがて体を覆っていた粘膜が冷え固まるとダメージが消えてしまった。
「汚なっ! セミ顔の宇宙人じゃあるまいし!」
「何の話しよ?」
「まずいね……」
 地団太を踏むエミルにレミは顔を顰めた。
 その2人とは別に私はため息を零した。
 このモンスターは脱皮すると今まで受けたダメージが消えて無くなるみたいだった。
 しかもそれだけじゃ無い、元々大きかったジャイアント・スパイダーの体が若干だが大きくなっていた。
「そんなの気の責だよ! 回復すんならその前にブッ倒せば良いだけだし!」
「確かにそうだけど……」
 何だか嫌な予感がした。
「レミ、お願い!」
「分かったわ。パワードッ!」
 レミはエミルに魔法を唱えた。
 エミルの頭上に小さな青い鍔の両刃剣に赤い↑矢印が重なったマークが浮かび上がった。
 これは一時的に対象者の攻撃力を上げる魔法だった。
 攻撃力が上がったエミルは再びジャイアント・スパイダー目がけて攻撃を仕掛けた。
「エミル・ラーッシュ!」
 今度は手数の多い連続パンチが炸裂する。
 複数の拳打が炸裂し、最後の一発で再び地面に倒れた。
 私も技コマンドの中から似たような技を選択する。
「スラッシュ・モーメントっ!」
 立ち上がったばかりのジャイアント・スパイダーに私の連続斬りが炸裂する。
『ギャアアア――っ!』
 ジャイアント・スパイダーは悲鳴を上げた。
 そして再び体を丸めると脱皮してダメージを回復してしまった。
『ギシャァアア―ーッ!』
 ジャイアント・スパイダーは叫びながら私達の方へ向かって来た。
 後ろの4本足で立ちあがると残りの4本の足の先端が輝くと、丁度私とエミルがやったような攻撃方法で私達を襲った。
 私が前に立つとでもこっちにはレミの魔法障壁がある、ジャイアント・スパイダーの高速突きがぶつかると金属音がぶつかるような音が響いた。
 レミの使う魔法も私達の技やセンリの魔法と同じ、レベルが上がれば上がるほど防御魔法はより強固な物となり、回復魔法の回復値も上昇する。
 だけど……
「なっ?」 
 防御魔法に亀裂が入った。
 これには術者のレミ本人も驚いた。
 さっきこの魔法は敵の攻撃を跳ね返した。
 でも今回は攻撃方法が違うとは言え壊れ始めた。
 やっぱり私の予想は当たってた。
 こいつの脱皮はただダメージ回復が目的じゃ無い、こいつは受けたダメージが高ければ高いほど回復した時に…… つまり私達が与えたダメージが大きければ大きいほどこいつは強くなって跳ね返って来る。