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ねとげ~たいむ・エキスパート!!

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 スライム達は一斉に私達に跳びかかって来た。
 でもそこをすかさずセンリが神鳥の杖を、ショコラさんも先端が2つに分かれて中央に赤い宝珠がはまった白い布が巻かれた黒い柄の長い自分の得物、『テオブローマ・ツヴァイ』を構えた。
 正式名称は『降魔の杖』と言う闇属性の武器だった。
 ちなみにテオブローマとはギリシャ語で『神の食べ物』と言う意味(実家がケーキ屋さんだから)で、『ツヴァイ』の方は降魔の杖を強化したからその名前がついたんだろう。
 途端2人の足元に魔法陣が浮かび上がると互いの杖の先端をスライム達にかざした。
「ギガ・サンダーッ!」
「唸れ雷! トール・ハウリングッ!!」
 2人の雷系の魔法が炸裂する。
 センリと同じ形状の魔法だからショコラさんもギガ・サンダーだろう、エミル同様名前を変えるからなぁ……
 少し前まではエミルも技の名前を使う度に適当に呼びまくってたけど、ショコラさんは武器も魔法も名前を厨二的に変えていた。
 2人の放つ閃光が洞窟内を照らし、雷鳴が響き渡るとスライム達を貫いた。
『ピギィィーーーッ!』
『ピギャァーーーッ!』
 スライム達は金属を擦る様な悲鳴を上げると消し炭となって消え去った。
 私も負けじとレイジング・ソードを振るって対抗する。
「ソニック・カッターッ!」
 私の炎の斬撃が飛ぶとスライム達を切り裂いた。
 途端スライム達は大地に落ちると蒸発して消えて無くなった。
 案の定スライムは大して強くなかった。ホイップ君も自分の武器で戦っていた。
「やああっ!」
 ホイップ君は茶色いヘッド部分に竜巻が描かれた白く柄の長いハンマーでスライムを叩き潰した。
 途端そこから衝撃波の様な物が起こると周囲のスライム達が弾け飛んで消滅した。
 ホイップ君の武器は敵一体を攻撃すると同時にその半分の攻撃力で他の敵を攻撃すると言う風属性の『ソニック・ハンマー』と言う武器だった。
 勿論クエストに誘ったアルネちゃんも戦った。
「こんのぉ、トコロテン野郎がぁーーーっ!」
 アルネちゃんは叫びながら愛用の杖、通称『スイート・ウェスタ』(正式名称:焔魔の杖)を突き出した。
 っ言うか断じてトコロテンじゃ無い…… そう思っているとアルネちゃんのスイート・ウェスタの先端の空気が渦を巻いた。
 ちなみに『ウェスタ』と言うのはローマ神話の釜戸の神様で、ギリシャ神話ではヘスティアと呼ばれていた。
 足元に魔法陣が浮かび上がり、魔法を放つかと思ったらそうじゃなかった。
「スキル発動っス!」
 スイート・ウェスタの先端の空気の渦の勢いがさらに増した。
 そのままチアリーリングのバトンの様にクルクル回しながら逆時計回り(彼女から見れば時計回り)に回すとスイート・ウェスタを高々と掲げた。
「エアードッ!」
 すると空気の渦から無数の真空の刃が飛び出した。
 その真空の刃はまるで意思を持つかのように飛んで行き、スライム達を真っ二つに切り裂いた。
 たちまちスライム達は消滅して戦闘終了になった。
「エアード一発で……」
 私は顔を顰めた。
 センリやショコラさんも驚いていた。
 私は戦士だから魔法は使えないけど、エアードは風魔法の初級魔法で、しかも単体にしか使えない。
 それを複数に使えたのは勿論スキルのおかげだった。
 センリも覚えている『ディフュージョン・スキル』と言って、自分の魔法を敵の数だけ分散して敵に放つと言うスキルだった。
 複数攻撃が可能なのは全て上級魔法になるけど、このスキルを使えば下級魔法でも複数を攻撃する事が可能になる。
 勿論これは僧侶職も使う事が出来る、予め覚えておけば回復魔法を振り分けて回復する事が出来るのだけど、通常の複数魔法と違い分裂すさせると魔法の効果が下がってしまうと言うデメリットもあった。
 それでも相手がスライムだった事とアルネちゃんの魔法が強かったので一網打尽に出来た。
「アタシ、少し後先考えないから、ローネちゃんからこのスキルを覚えるように言われたっス〜」
 アルネちゃんは言った。
 確かに性格的に言えばエミルやショコラさんと同じで、夏休みの計画は立てても実行せずに遊び呆けて後で慌てるタイプだ。
 実際夏休みの最終日はお姉ちゃんに宿題見せに貰いに来てた。