ねとげ~たいむ・エキスパート!!
洞窟内は苔の生えた岩肌のジメジメしたイメージで作られていた。
案の定洞窟内も水浸しになっていた。
洞窟の中に入って1分も立たないだろう、天井はそれほど高くは無いけど大きなフロアに出た。
ここは水が所々途切れて足元の岩が露出していた。
私はクエストを始める前から考えていた事を言った。
「でもスライムってそこまで大げさに作るものかな?」
何を今更って感じだけど、私はクエストを受ける前から気になっていた。
今回討伐するスライムって言うモンスターは大したイメージが無い。
どんなRPGでも序盤に出て来る雑魚モンスターで、毒や痺れなどの異常攻撃や魔法を唱える物はいるけど、それでもイベントにするべき存在であるかどうか疑問だった。
そう思っているとアルネちゃんが大声で言って来た。
「何言ってるっスか、スライムって言ったらとんでもないモンスターっスッ!」
「そ、そうなの?」
「コロナちゃんもそうっスけど、うら若き女子…… 特にアタシ達魔法使い系にとっては最大の天敵っス! 何しろ魔法少女が触手に捕まったら溶解液で衣服を解かされた後『あんな事』や『こんな事』をされて、さらには……」
「……下品」
センリは呆れて目を細めながら言葉を遮った。
生憎このゲームにはr指定じゃない、子供からお年寄りまで楽しめる健全なオンライン・ゲームだ。
負けた所でアルネちゃんが思ってるような展開にはならない。
一方ショコラさんとホイップ君もアルネちゃんの言葉の意味が分かっているので顔を赤くしながら反らした。
そんな事を思っていると私はショコラさんの足元の岩と岩の隙間から緑色の半透明のゼリー状の物体が湧き出て来た。
それは大きくなると、まるで牙の生えた生物の口の様に広がってショコラさんに覆いかぶさろうとした。
「姉さんっ!」
ホイップ君は叫んだ。
今からじゃ攻撃は間に合わない、となると取る手はただ1つだ。
私は盾を構えるとガード・スキルを発動させた。
「スキル発動!」
私は瞬時にショコラさんの背後に回り込むとモンスターの攻撃を防いだ。
すると弾かれたモンスターの体は風に煽られた様に震えだした。
「こいつ、スライムっ!」
「こっちも出たっス!」
振り向くと岩の天井の隙間からもスライム達が溢れ出て来て地面に降り立ち、私達の周囲を塞いだ。
こいつらはスライムの中でも最も最弱の『グリーン・スライム』だった。
「早速お出ましね」
私はレイジング・ソードを手に取った。
さっきも言ったけどスライム一体一体の強さは大した事は無い、中にはステータス異常を起こす奴も結構いるけど、こっちにはヒーラーのホイップ君がいる。
マッド・マン達もそうだったけど数が多いのが厄介だった。でもここは魔法使い達に任せておけば良いだろう。
「ひいぃっ! こいつら、よってたかってアタシ達に不埒な行為をするつもりっスねっ!?」
「その発想から離れて!」
私は叫んだ。
何でローネさんはこんなクエストをアルネちゃんに選んだんだろう?
アルネちゃんが魔術師(魔法少女)から? そう言うアニメの影響を受けてるから弱点克服の為? それとも単に知らなかっただけ???
考えれば考える程分からなくなって来た。
作品名:ねとげ~たいむ・エキスパート!! 作家名:kazuyuki