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ねとげ~たいむ・エキスパート!!

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 その2日後。
 私は騎士コロナになってパラディスの集会場へやって来た。
 集会場へ上がる階段を上っている最中、私が言うとセンリは頷いた。
 レミはまた『家庭の事情』で、エミルはまたテストで0点取ったのがバレてゲーム禁止を食らってしまったらしい。
 どうやら今回は静かなプレイに成りそうだ。と言うか今までが賑やかだったのかもしれない…… 何しろセンリは物知りだけど自分から喋る事が殆どなかった。
 しかも同じ趣味を持つエミルがいない…… 私も特撮は観てたとは言え暇つぶし程度だし、まして今のシリーズはチンプンカンプンだ。
(せめて話題を触れる人がいればなぁ……)
 と思いながら集会場の入り口を潜った。
 様々なジョブの人達がカウンターで受け付けをしていると……
「この愚か者!」
 突然集会場に怒声が響いた。
 私が振り向くろ2人のアバターが言い争いをしていた。
 周囲のアバターも何事かと見る中、黒い猫耳バンドに茶色で先端が尖った腰まであるストレートヘア、黒い生地に白いフリルのゴスロリ風の服と足首まであるスカート、その上から黒く短いマントを羽織り、爪先が反り上がったプレーヌと言う靴を履いていた女の子が言って来た。
「我が半身、姉の命が聞けないというのかっ?」
 女の子は組んでいた腕を解き、握りしめた左手を腰に当て、右手の人差し指をビシっと向けながら言った。
 この中二臭い言い回しをするともう1人の子が言い返した。
「姉さんだからって威張らないでよ、大体この前のクエストだってその責で負けたんじゃないか!」
 彼女とは対照的に白い猫耳バンドと水色の長い髪をうなじで縛り、白い生地のボレロに黒い指を開けたグローブを嵌め、白いズボンの皮靴を履いた子は水色の眉を吊り上げた。
 途端にらみ合う2人の間に火花が散った…… かのように見えた。
 この2人は私の知り合いのプレイヤーで、姉のショコラさんと弟のホイップ君だった。
 何でこんな名前なのかと言うと、実家が長崎のケーキ屋さんだからだと言う、でもホイップ君は本当は別の名前を付けようとしたのだけど、トイレに言っている間にショコラさんに勝手に決められてしまったらしい。
 この2人がケンカするなんて珍しいけど、見てる訳には行かなかった。
「ちょっと待って2人供、どうしたの?」
 私とセンリはショコラさん達に近付いた。
 2人は私達に気づいて振り向くと目を見開いた。
「あ、コロナさん、センリさん、お久しぶりです」
「おお、久方ぶりだな我が盟友達よ! 煉獄の刻以来だな」
 相変わらず中二病全開だなこの人……
 要するに『夏の特別クエスト以来だ』って言いたいんだろう。
 するとセンリがその姉弟に騒ぎの原因を尋ねた。
「それで、一体何で喧嘩してたの?」
 センリの言葉で喧嘩してた事を思い出した2人は目を吊り上げると互いに指を差して言った。
「半身が悪い!」
「姉さんが悪いんです!」
 2人の声がハモった。
 こりゃタダ事じゃ無かった。