ねとげ~たいむ・エキスパート!!
「ストライク・ブレードーーっ!」
「エミル・キィーーックっ!」
私達の渾身の一撃が炸裂した。
攻撃が終わると私達は間合いを空けたのだけど、ミミックは倒れなかった。
この数ターンでダメージはかなり与えたはずだし、それでも倒すまでにはいたらなかった。
「時間が無いってのに〜〜っ!」
エミルは悔しがる。
しかも最悪な事はまだ続く、センリの拘束魔法が解けてしまった。
大地の鎖が粉々に砕け散るとミミックは自由の身となった。
時計を見ると時間はあと10秒も無い、しかも私達のターンは終わっている、次ぎのターンになったら必ず逃げられる。
(あと一撃与えられてたらッ!)
私は悔やんだ。
いや、ここにいる誰しもが諦めただろう、でもその瞬間、ミミックに飛び込んで良く1人のアバターがあった。
テリオさんだった。
「スキル発動ーーッ!」
テリオさんはスキルを発動させた。
テリオさんの全身が灰色の光に包まれると身をさらに低くして飛び込んだ。
そしてあっという間に間合いを詰めて技コマンドをクリック、逆手に構えた両手のダガーを振るって攻撃した。
この技は攻撃が確実にクリティカルになる代わりに防御力が完全になくなり、次のターン確実に狙われる事になる対一用の技だった。
「瞬天殺ッ!」
刹那の出来事だった。
テリオさんの会心の一撃が炸裂するとミミックが動かなくなった。
いや、それだけじゃない、テリオさんが手の中のハウリング・ダガーを回転させて腰のホルダーに仕舞うと時計のカウントも止まった。
このゲームはリアルタイム動いてるのでポーズは出来ない、むしろパーティで活動する所もあるので他のプレイヤーに迷惑がかかる。
よってカウントが止まるのはクエストの条件を満たした時だけ、すなわちコレは……
『ガァァアア………』
ミミックの体が揺れ動くと横に倒れて動かなくなり、やがて画面から消滅した。
これにてクエスト・クリア、残り時間1秒前だった。
作品名:ねとげ~たいむ・エキスパート!! 作家名:kazuyuki