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ねとげ~たいむ・エキスパート!!

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 階段を下りると1本道が目の前にあり、さらに奥には大きな観音開きの扉があった。
 古臭い感じはするけど、今まで見て来た扉より1番大きくて立派な扉だった。
 どうやらあれが最後の部屋みたいだ。
 私達が扉に向かって歩き出した時、センリが行ってきた。
「……おかしい」
「どうしたの?」
「古人曰く『嵐の前の静けさ』、隠し階段を降りてからずっとモンスターと戦ってない」
「え? そうだっけ?」
 レミはセンリを見ながら尋ねた。
 確かに言われて見ればそうだ。
 隠し階段を発見するまではモンスターが嫌と言うほど襲ってきた。
 でも地下に降りてからと言うものエンカウントしてない。
「きっと待ち伏せてるんでしょ、パターンだよパターン」
「エミルちゃん、良く知ってるわね」
「特撮で良くあるよ、人質とかとってヒーローを待ち伏せして一気に全滅させようっての」
「でも最後は助けられて敵が痛い目を見るのよね、しかも助け方って言うのは結構難易度高くて……」
「テリオさん、分かってる〜、やっぱ特撮大好きなの?」
「ん〜〜、特撮って言うか、色んなの観るよ、弟もいるし妹もいるから……」
 テリオさんは頬を掻きながら苦笑した。
 何でもテリオさんの家はテレビが1台しかないらしく、チャンネル争奪戦が日々行われていると言う。
 弟は特撮が好きなのだけど、妹さん達は魔法少女物を観たいと大喧嘩をしているらしい、そう言った時はジャンケンで決める物としているらしく、観れなかった人は後で動画サイトにアップされたのを観る事にしていると言う。
 姉弟が多いのも考え物だ。

 するとそこには1つの宝箱があった。
 でもそれはいつも見てきた宝箱とは違った。
 いつもは鉛色の縁取りに茶色い木製の宝箱なんだけど、今回のは金色の縁取りに渇いた血の様に赤黒く塗られた宝箱だった。
「……引っ張った割りに宝箱1つなんて、随分地味な終わり方ね」
「要するにこれ取って終わりでしょ? 何か強力な武器があったりして〜」
「ちょっと待って!」
 スキップを踏みながら宝箱に近づくエミルを私は止めた。
 明らかに怪しすぎる、これ見よがしに置いてあるなんてどう見ても罠以外のなんでもない。
 私はテリオさんを見るとテリオさんは頷いてくれた。
「眼力ッ!」
 テリオさんは再び技コマンドを選択してくれた。
 すると宝箱の上に青い×印が輝いた。つまりこの宝箱にはトラップが仕掛けられている、ちなみに普通にお宝が入っている場合は赤い○印が現れる。
 だけどこのままじゃイベントは起こらない、どうしよう???
「任せて」
 するとテリオさんは技コマンドを選択すると私達の前に出て懐に手を入れた。
 そして叫びながら『ソレ』を宝箱に向かって放り投げた。
「銭投げッ!」
 テリオさんが放り投げたのは金貨だった。
 これは所持金をいくらか投げる事で敵をおびき出す技だった。
 またこの技は戦闘中にも使用でき、金額しだいで戦闘から離脱する事ができる。
 モンスターもお金が欲しいのか? 倒せばお金が手に入るんだし、普段から持ち歩いてるんだろう。
 そう考えると何だか私達は強盗のような気分だった。