ねとげ~たいむ・エキスパート!!
敵を倒し、数多の罠を掻い潜り、私達は海賊のアジトを探索した。
そしてお宝が貯められていた宝物庫にたどり着いたのだけど、手に入いるのはその辺で見る素材アイテムや道具屋で売ってる物ばかりだった。
「こんなのがお宝? 集めるならもっとまともなの集めろっての……」
レミはため息をこぼした。
ゲームのジョブとは言え聖職者としてあるまじき発言だ。
考えてみれば船長が処刑された時点で海賊団は解散してる訳だし、目ぼしい物は全て王国が押収してるか冒険者が持っていってしまったんだろう。
いずれにしろ残っているのはガラクタばかりだった。
まぁ、元々はテリオさんが受けるクエストだったし、私達はおまけで着いてきたような物だから文句は言えなかった。
「きっと隠し部屋とかあるんだよ、ほら、ゼーキンタイサクとか言ってお宝隠して……」
「海賊が税金払う訳無いでしょう、だから海賊やってるんじゃない」
私は言った。
いるとしたらなんて律儀な海賊だ。
私掠船ならともかくとして、普通の海賊で存在するならぜひとも会ってみたい物だ。
ただ隠し部屋の存在は否定しなかった。
製作者側が結局何も見つからないでそれで終わりと言うぬか喜びのクエストを作る訳が無い、海賊の財宝はどこかに存在するのは間違いないだろう。
問題は隠し部屋の存在だけど…… こっちにはお宝探しのエキスパートがいる。
私はテリオさんにお願いする。
「テリオさん、お願いします」
「分かったわ」
テリオさんは頷いて答えた。
そして技コマンドを開くと1つのコマンドを選択した。
「眼力ッ!」
テリオさんが大きな瞳をさらに大きく見開くと瞳孔に怪しい光が灯った。
テリオさんの視点がどうなってるのか分からないけど、この技は隠されたフィールド内の見えない物を探す事ができる。
つまり落ちているお金やアイテム、はたまたトラップまで探す事が可能だ。勿論隠し通路も見つける事が出来る。
するとテリオさんがある場所を指差した。
「そこっ!」
テリオさんが支持した方を見ると床の一角の石畳が青白く発光していた。
私達は空の宝箱を掻き分けながらその場所へ向かった。
私達がその場所にやって来て見下ろすと石畳が消えてなくなり、後には下に続く階段が現れた。
「こんな所にあったとはね」
「この下に大判小判がざっくざく〜♪」
「エミル、テリオは犬じゃない」
「あはは……」
テリオさんは苦笑した。
隠し階段を見つけた私達(見つけたのはテリオさん)は地下へ降りて行った。
降りた場所は面積こそ1回りほど小さい物の、宝箱や道具袋が置いてある上の階と似たりよったりの石を積み重ねて作られた地下室だった。
ただし左右と真正面に1つづつ、置くに続く扉があった。
作品名:ねとげ~たいむ・エキスパート!! 作家名:kazuyuki