ねとげ~たいむ・エキスパート!!
周囲を見ると誰もいない、今日は1人みたいだった。
ちなみにお姉ちゃんは隣で寝ていた。どう言う理屈か知らないけど、お姉ちゃんは週に1度帰宅するなり必ず爆睡する、そして朝まで目が覚めず、その間どんな事をしても目を覚ます事は無かった。
まぁ、今日も部活で遅かったんだし、ゆっくり寝かせてあげようって思ってたけど、同じ部活に出てるはずのテリオさんが目の前に立っていた。
朝と夜のバイト+部活+ゲーム…… どんだけタフなんだろう、少しは休んだらどうなんだって思った。
すると階段を降りてくるテリオさんにレミが尋ねた。
「テリオはこれからクエスト? 今日は1人なの?」
「はい、今日は皆予定があるみたいで…… その代わりにローネが私用のクエストを選んでくれましたから」
「へぇ〜、どんなの?」
エミルが尋ねた。
何でもテリオさんが受けたのは『大海賊の秘宝』と言うクエストだった。
かつてパラディスに1人の海賊がいた。その男は『キャプテン・バウス』と言われ、冷酷非道・残虐無比と言う言葉が似合う極悪人だったのだけど、ある日バウスは処刑されて海賊団は散り散りとなった。
そのバウスの残した財宝がパラディスのどこかにあると言われ、それを探してきて欲しいと言うのが今回のクエストらしい。
「っか何? そのいい加減なクエスト」
レミは顔を曇らせながら言った。
宝探しは確かに盗賊向きの仕事かもしれない、でも何の手がかりも無しに海賊の宝を探して来いだなんて、子供のお使いじゃないんだから……
するとエミルが目を輝かせながら言って来た。
「ええぇ〜〜っ! 海賊のお宝ぁ〜〜っ?」
「エミル、お宝とか好きだよね」
私は苦笑する。
するとテリオさんが言ってきた。
「あ、それなら皆もどうですか?」
「えっ? 良いの? 邪魔にならない?」
「ええ、1人でやるのも飽きてきましたし」
テリオさんは気前よく誘ってくれた。
私達も別に受けるクエストは決まってないし、その誘いを受ける事にした。
作品名:ねとげ~たいむ・エキスパート!! 作家名:kazuyuki