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ねとげ~たいむ・エキスパート!!

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 私は街に帰って来た。
 あれからお姉ちゃん達はお開きになって先に上がった。
 でも私は『少し残る』と言って皆と一緒にプレイヤーズ・バーへやって来た。
 周囲のプレイヤー達は仲間同士で会話を楽しんでいる中、私達はテーブルを囲んで項垂れていた。
「………」
 私は少し顔を上げて3人を見てみる、いつもは元気いっぱいのエミルもレミとセンリ同様顔を暗くして項垂れていた。
 その理由は今回のクエストの事だった。
 皆自分の本分を忘れて相手を倒す事を優先してしまった。
 別に無理をして速攻で決める必要がなかった。センリはもう少し思考を働かせ、レミはあの場でスキルを使う必要が無かった。エミルだって防御を捨ててまで攻撃をする必要が無かった。
 でもそれは私だってそうだ。無理に攻撃に徹する必要が無かった。私は自分の本分である『皆を守る事』を忘れていた。
 勿論攻撃する事は悪い事じゃ無い、むしろモンスターを倒さなければクエストはクリアにならないし、倒せるときは倒すべきだ。ただあの時『もう少し様子を見よう』って言えば違う結果になったかもしれなかった。
 そんな事を考えているとエミルが言って来た。
「お姉さん達、強かったね」
「……そう、ね」
 私は頷いた。
 確かに強さ、早さ、戦い方も全てが私達より上だった。
 なおかつ私の学校にはクラス替えと言う物が無い…… 普段から同じ教室で生活し、同じ部に所属しているから毎日プレイして無くてもコンビネーションが取れていた。
 それだけ上手に時間を使ってるんだろう、方や私達は新しい武器を手に入れて天狗になっていた。
 私達は新しい装備を得たし、スキルの使い方も学んで強くなった…… いや、強くなったと思い込んでた。考えが浅はか過ぎた。
 新しい武器を過信して相手の特性を見抜く事が出来なかった。
 私…… と言うより『私達』だな、どこかでお姉ちゃん達に負けたくないと思ってたのかもしれない。
 お姉ちゃん達はソロプレイ出来る位の強さを誇ってる、でも私達は全員で力を合わせなければクリアは叶わなかった。
 嫉妬…… いや、多分焦りだろう、今回は運が良過ぎた。お姉ちゃん達がいなければ確実にやられてた。
「ルナの友達だから凄いと思ってたけど、あそこまでとは思わなかったわ」
「………」
 レミは深くため息を零し、センリは格言どころか言葉すら失っていた。
 私もどう言って良いか分からない、ただ黙っているしかなかった。
 それからしばらく時間が流れ、私達はほぼ何も話さずに解散となった。

 私はそれからしばらく皆とゲームはしなかった。
 メールを覗いても皆からの誘いが無い、中間テストが近いって言ってたからだろう、いつもはダダを捏ねて来るエミルですらメールが無かった。
 それから1週間後、中間テストが始まった。
 その間約束だからお姉ちゃんに勉強を教えてもらった。
 勿論アルネちゃん達の中の人達(プレイヤー)とも再び出会って改めて面識を持った。
 あのお姉ちゃんの部屋に上げる訳にもいかないのでリビングで勉強会となったのだけど、私もその中に混ぜて貰った。
 お姉ちゃん達の友達は皆良い人達だった。皆学年が違うけど優しく接してくれた。
 しかもお姉ちゃんは教え方が上手だったので、帰って来た答案の回答欄には〇印がいつもの2倍に増えていた。
 成績が上がったのは確かに嬉しい事だ。でも私には1つ気がかりな事があった。それはエミル達の事だった。
 私は1週間ぶりにオンライン・キングダムの世界へ旅だった。