ねとげ~たいむ・エキスパート!!
作戦は決まった。
と言うよりいつもの通りだけど……
まずセンリが魔法で相手の動きを封じて置く、再びグラビティ・バインドを唱えてスパイク・ドラゴンのターンを防いだ。
その隙にレミが私とエミルに攻撃力増加の魔法をかける。
私達にパワードが唱えられると頭上に攻撃力増加の証しのマークが浮かび上がった。
そして私は渾身、エミルがチャージで攻撃力を増加させる…… でも今回はこれで終わりじゃ無かった。
おあつらえ向きにセンリの魔法が解けた。
『ガアアアアッ!』
スパイク・ドラゴンは大きく咆えると身を屈めて再びスピン・アタックを仕掛けて来た。
大地を砕きながら迫って来るスパイク・ドラゴンにレミが叫んだ。
「スキル発動!」
レミは右肩にメイスをかけながら左手を突き出した。
途端目の前に巨大な長方形の鏡の様な壁が出来あがった。
これはミラージュ・スキルと言うスキルで、自分のHPとFPを半分にする事でクエスト中に1回だけ物理・魔法・特殊攻撃のどれかを完全に無効化し、なお且つ2倍にして跳ね返す事が出来ると言う物だった。
壁にぶつかったボールの様にスパイク・ドラゴンは跳ね返り、地面に転がった。
ミラージュ・スキルの効果が切れ、鏡の壁は音を立てながら砕け散った。そこをすかさずセンリがダブル・スキルを使って足元の魔法陣を巨大化させた。
「ギガ・アクアスッ!」
さっきの水魔法よりもさらに巨大な水球ができあがると特大の水流が放たれてスパイク・ドラゴンを襲った。
『ガァアアァァーーー!』
スパイク・ドラゴンはまるで大洪水に飲まれたかのように苦しみもがいた。
そしてすかさずエミルが飛び出した。
「スキル発動!」
エミルはスキルを発動させると両手が青い光を放った。
これはエミルが新しく手に入れた『ボロウ・スキル』と言うスキルで、次のターン何もできなくなる代わりに攻撃力か防御力を2倍にすると言う効力を持っていた。
そしてエミルは装備コマンドを選択すると両手からハイドロ・トンファーが消えて無くなった。
その代わりにアイス・クローの強化版であるグレイシャー・クローが装着されて技コマンドを選択した。
「エミル・ラッシュ!」
エミルの無数の拳がスパイク・ドラゴンを攻撃する。
6倍に膨れ上がったエミルの攻撃は並大抵の威力では無かった。
さらに氷属性の武器の当たった箇所から凍りついて行き、分厚い氷の中に閉じ込められた。
「コロナッ!」
エミルが叫ぶ。
そして私は海王の鉾を構え直すと最近覚えたてのスキルを発動させた。
「スキル発動!」
私が叫ぶと頭の上の攻撃力増加マーク(剣と赤い↑矢印)の横に防御力激減マーク(盾に↓矢印)が浮かび上がった。
でもただ防御力が下がるだけのスキルじゃ無い、そんなスキルは損するだけだし、何の意味も無い……
このスキルは防御力を半分にする代わりに攻撃力を2倍にするスキル『アタック・スキル』と言う物だった。
エミルのボロウ・スキルと似てるけど、このスキルは防御力を減らすので、エミルや他の人達が使うより私が使った方が効果的だった。
私の技・スキル、そしてレミの魔法で6倍の攻撃力となった私は技コマンドを選択して走り出した。
「マイティ・スラストッ!」
さらに1・5倍になる攻撃技を使い、私の攻撃力が7・5倍に膨れ上がるとスパイク・ドラゴンを攻撃した。
そして私の攻撃がスパイク・ドラゴンに命中する。
「はああああっ!」
私の渾身の突きが炸裂してスパイク・ドラゴンはさらに吹き飛んだ。
体を覆っていた氷が砕け散り、地面に土煙を放ちながら倒れて動かなくなった。
作品名:ねとげ~たいむ・エキスパート!! 作家名:kazuyuki