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ねとげ~たいむ・エキスパート!!

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 私達は夜の森にやって来た。
 昼間も薄暗かったけど、夜になると更に暗い森の中を私達はたいまつを持って森の中を進んでいた。
 今回受けたのは『闇の乱獲者』と言って、この森の中に棲み付いた『ジャイアント・スパイダー』を倒す事だった。
 モンスターの名前がスパイダー=蜘蛛だけあって周囲の木々や草むらに蜘蛛の糸が散乱して絡み付いていた。
 
 一通りフィールドを回ったのだけど、ステージ・ボスであるジャイアント・スパイダーの姿はどこにも無かった。
 どうやら今回のモンスターはあちこちのフィールドを動き回るらしい、影も形も見当たらなかった。
「ああ、もうっ! 来るならさっさと来なさいってのよ!」
「時間がもったいないってのにね」
 私も思った。
 クエストにもよるけど基本1クエストの制限時間は1時間、このクエストを初めてからすでに10分も経過していた。
 まだ時間はあるとは言え、不安になって来た。
「ま、正直言ってあんまり会いたくない相手かな……」
「ああ、そうか、レミ虫嫌いだっけ?」
 露骨に眉間に皺を寄せて舌打ちするレミに私は言う。
 確かに女で虫好きなのはそうはいないだろう、何しろ私もゴキブリが出て来たら悲鳴を上げるからだ。
 とは言ってもゾンビや幽霊みたいなアンデット系のモンスターよりはまだ我慢できる、子供の頃にホラー映画みてトラウマになって以来凄く苦手になったからだ。
 あの頃よりは成長したし、ゲームとかなら我慢できるんだけど、さすがに嫌いな物が出て来て良い気分はしない。
 レミもビギナー・ランクでも虫系のモンスターが出て来ると…… 嫌な顔はしないもの顔を強張らせていた。
 するとエミルとセンリが言って来た。
「ええ、別に良いじゃん、虫ってヒーロー多いし」
「……その分悪役も多い」
 前言撤回、こんな身近にいた。
 何しろ2人は特撮好きだからなぁ……
 そんな事を考えているとレミが吐き捨てた。
「所詮虫は虫よ、それ以外の何モンでもないわよ」
「そんな事無いよ、それに虫は宇宙から来たってんだからカッコ良いじゃん!」
「エミル、それはどうかと思うけど……」
 私は首を傾げた。
 エミルの言ってる事は『昆虫宇宙起源説』って奴だろう。
 大昔に落下して来た隕石に卵があったか、あるいは宇宙人が地球に捨てたものが繁殖したかは分からないけど、昆虫は元々地球外生命体って説がある。
 でもあれは人間がエイリアンをデザインする時にモデルを虫に選んだだけだって気もする。
 虫は地球で最も種類が多く、正しい数は不明だけど地球の8割が昆虫で埋められているらしい。
 地球上のどの生物よりも子孫を繁栄させて至る所に生息し、さらにどんな環境にも適応できる能力を持っている為に学者の中には『地球は虫の惑星』と言う人もいるくらいだ。
 ただやっぱり見た目なんだろうな、特撮やアニメとかだと悪役になる事が多い…… 勿論ヒーローとして描かれる事もあるけど、さすがにバッタとかクワガタみたいな良いイメージの虫が使われている。
 最近じゃ蜘蛛や蠍も使われてるみたいだけど、それでもムカデとかゴキブリはまだいないらしい…… って言うかそんなヒーローはゴメンだ。
「古人曰く『一寸の虫にも五分の魂』、虫を侮ったらいけない」
「いや、意味違うと思うけど……」
 私はセンリに言う。
 センリは頭良いけど時々こうして言葉の使いどころを間違える、言いたい事は分かるんだけどな……
 いずれにしろ今回は敵だから倒さなきゃいけなかった。
 そんな話をしながら私達さらに森の奥へと進んで行った。