ねとげ~たいむ・エキスパート!!
それから私達は洞窟の中を進んで行った。
入り組んだ蟻の巣のような道を進んで行くと様々なモンスター達が行く手を塞いだ。
リザード・マンが進化して強力な盾と斧と槍が合体したハルバートを装備したリザード・ソルジャー。
鋭い爪で地中を掘り進み、背後から鋭い牙を剥きだして攻撃して来る人食い土竜キラー・モール。
巨大な渦を巻いた貝殻を赤黒いブヨブヨした軟体の胴体で背負い、頭部から4本の目が突き出て蚊の様な鋭く尖った口を獲物に刺して血を啜る吸血蝸牛ブラッド・スネイル等。
他にも沢山いるのだけど、一々説明したらキリが無い程のモンスターを撃退して行った。
洞窟に入って早30分。
戦い続きでHP・FPが大幅に減ってしまった。
新装備のおかげでモンスター達は難なく倒せる、でも問題は数だった。
武器だけではなく防具も新調したのだけど、いくら防御力を高めても受けるダメージが0で無い限りダメージは蓄積されて行く、数が多ければ多いほどHPゲージは減り、撃退するのに必要な技を繰り出す為のFPのゲージも減って行った。
私達は一時奥へ進むのを中断して道具コマンドを開くと回復用アイテムを選択してHP・FPを回復していた。
勿論それはお姉ちゃん達も同じだった。
でも……
(なんだろう、この意和感?)
私はお姉ちゃん達を見て首を傾げた。
いくら向うが1人多いとは言え基本的にこちらと同じジョブとレベルと装備をしている、しかも現在回復中だった。
だけどどこか違っていた。私達は皆で互いを庇いながら戦ってる、皆が危なそうな時にスキルを使い敵の攻撃を庇い、エミルやセンリが戦いやすいように補佐している。
お姉ちゃんだって私の戦い方とほぼ同じだった。戦いは他の人達に任せるとスキルを使って守りに徹していた。
でもどこか余裕と言うか、切り札みたいな物を持っているような感覚だった。それが何なのかは分からない、でも昔からそうだったからだ。
それからしばらくすると私達は再び歩きだした。
相変わらずモンスターの数は多い、でもその分倒せば経験値も上がるしお金も溜まる、ローネさんの考え通り絶好の稼ぎ場だ。
作品名:ねとげ~たいむ・エキスパート!! 作家名:kazuyuki